記事は結論として、「ガムが微信に負けた」説は、ある観点においては正しいが、ガムが売れなくなったのは微信のせいだけではない、と述べている。中国報告網のデータによると、中国ガム市場は2010年から成長が鈍化し、2016年にピークを迎えた後、売上高は減少傾向にある。これは中国に限った話ではない。日本チューインガム協会によると、日本のガムの売上高は、2017年にはピーク時(2004年)に比べ4割以上減少している。また、アメリカでもガム市場は縮小傾向だという。
こういった「ガム離れ」の背景には携帯電話の普及があるようだ。中国インターネット情報センターによると、2018年末時点で中国のネットユーザーは8億人を超え、インターネットへの平均アクセス時間は1週間に27.6時間。そのうちインスタントメッセージ類のアプリケーション使用時間が最も長く、15.6%を占める。「中国最大のSNSとして、微信はネットユーザーの大量の時間を占拠している」と記事は指摘し、微信やその他のヒマつぶし方法ができたことが、ガムの販売量減少の大きな要因だと分析した。
ガムの存在に追い打ちをかけるのは、「何となく噛む」という消費者が減っただけでなく、「何となく買う」という消費者も減ったことだ。日本のスーパーはレジ前の棚に必ずと言っていいほどガムが置いてあるが、これは中国でも同じである。
また、記事は、中国でのモバイル決済の発展も「ガム離れ」を加速させたと指摘する。中国ではかつて、お釣りを返すときに小銭が足りないと、個包装のガムなどで代用することがあった。中国新聞網の取材を受けた女性は、「じゃまな1角硬貨(1元の10分の1)より、そうやってお釣りを返したほうが喜ぶお客さんが多かった」と話す。現在はモバイル決済が普及したことで、ガムをお釣り代わりにする必要がなくなったというわけだ。
「あなたはいつからガムを噛んでいませんか? 買わなくなった理由は何ですか?」記事はこの問いかけで締めくくられている。(編集担当:伊藤由記)(イメージ写真提供:123RF)
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