中国メディアの経済日報によれば、浙江理工大学の郭副教授が浙江省杭州市の動物園「杭州野生動物世界」による入園時の顔認証をめぐって人民法院に対し提訴した。これは中国での顔認証技術をめぐる初めての訴訟だという。
同記事によると、郭副教授は本年4月27日に「杭州野生動物世界」の年間フリーパス1枚を1,360元(約21,000円)で購入した。郭副教授は年間プリーパス購入時に姓名、携帯電話番号等のほか、指紋を登録し、その後数回「杭州野生動物世界」を訪れ、毎回フリーパスの提示と指紋認証で入園した。ところが10月17日に「杭州野生動物世界」より、今後入園時の本人確認は顔認証によることとし指紋認証は廃止する旨のショートメッセージを受領した。
記者の質問に対し「杭州野生動物世界」は、顔認証を導入した理由は入園にかかる時間短縮のためで、1万人強の年間フリーパス購入者のうち、多くは入園方式の変更を受け入れたものの、郭副教授のように問題視し顔情報の収集を認めない者も複数いるという。顔情報を登録しない場合、入園するには年間フリーパス手続カウンターで本人確認を受ける必要があり、年間プリーパスの払い戻しを受ける場合は過去の入場料金(1回220元=約3,400円)が差し引かれたうえで返金される。
10月28日、郭副教授は、個人の顔情報は流出したり乱用されるおそれがあって消費者およびその財産の安全を脅かす可能性があり、本人の同意を得ずシステムを変更し個人を識別する情報の収集を強要することは「消費者権益保護法」等の関連規定に違反するとし、「杭州野生動物世界」が年間フリーパスの料金および訴訟にかかる費用を支払うよう求め杭州市富陽区人民法院に対し提訴し、受理された。(編集担当:猶木縁一郎)(イメージ写真提供:123RF)
【関連記事】
低迷する中国への外国人旅行、初めてインバウンドをアウトバウンドが上回る
67歳女性による奇跡の出産! 中国で自然妊娠の高齢記録
「世界最高級」の全自動運転地下鉄 上海でまもなく運行開始
独メトロも中国から撤退 外資企業が中国市場で生き残るためには
日本流のお通しは消費の強要? 上海の日本料理店で