アサヒ 家庭用ビールサーバー参戦 進化へ「共創」 会員の声を積極反映
「ドラフターズ」の家庭用サーバー(アサヒビール)
アサヒビールは家庭用生ビールサービス「THE DRAFTERS(ドラフターズ)」を5月25日から開始。4月7日から会員を募集している。
年内会員目標を3万人として、着実な事業基盤構築を目指す。

「ドラフターズ」とは、独自に開発したという「本格泡リッチサーバー」を会員に貸し出し、「スーパードライ(ミニ樽ℓ)」を毎月2回、自宅に配送するサービスのこと。業務用サーバーの技術を活用しており、クリーミーできめ細かい泡が抽出でき、また通常の温度帯(4℃~6℃)の「スタンダードコールド・モード」と、氷点下の温度帯(-2℃~0℃)の「エクストラコールド・モード」を好みに応じて楽しめる。

松山一雄専務取締役マーケティング本部長は「プロ仕様の本格サーバー」と胸を張る。

業務用サーバーは日々のメンテナンスが欠かせないが、「ドラフターズ」ではチューブやタップの水洗いを推奨するほかは、ほぼメンテナンスフリーである点も特徴だ。

また、アウトドア専門誌「GO OUT」が監修した専用キャリーケースを、夏頃をめどに会員限定で発売する予定だ。

投入の背景にあるのは消費者のライフスタイルの変化だ。以前は商品を主役に置き、消費者に対してさまざまなアプローチを試みたが、それぞれがバラバラで統一感がなかったという。一方、松山本部長が進める統合型マーケティングでは、消費者の心や行動を中心に据え、「一貫性のあるブランドの世界観」(松山本部長)の構築を進めるという。

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「ドラフターズ」の家庭用サーバー(アサヒビール) この方針に沿ってニーズ、購買行動、オケージョンの変化を分析。コロナ禍で家庭内ハレ需要が増加したことに伴いECや宅配が増え、家飲み頻度も高まっており、またキャンプやアウトドア市場の拡大から、いつでもどこでも酒を自由に楽しみたいといったニーズも増加しているとみる。

このサービスでは、会員との「共創」を基本方針に掲げて戦略を組み立てる。
LINE(ライン)のオープンチャットなどで会員の声を聴き、商品だけでなく、サーバーやパッケージについても声を拾っていく考えだ。

初年度は「スーパードライ(2ℓ)」のみを展開。看板メニューを定着させ、またオペレーション上の不備を生じさせないためという狙いもあるが、次年度以降は会員の声を受けながら他の中味も検討する。

「ドラフターズ」の展開で、既に発売している「スーパードライ 生ジョッキ缶」との競合も懸念されるが、松山本部長は「『生ジョッキ缶』は、すべてのビール好きの人に缶で手軽に、店で飲むような楽しみを提供するものだが、『ドラフターズ』はそこから少し進んだ、注ぐという行為自体に価値を感じる『通』の人を主なターゲットにしている」とし、「既に存在する需要から獲ってくるのではなく、新しい需要を喚起していく」と話す。これによりビール市場全体が活性化すれば、コロナ禍の状況が改善後には業務用を含めた市場全体の活性化につながると期待する。

「THE DRAFTERS(ドラフターズ)」公式サイトから友達登録を行うと規約などが送られ、同意するとプレ会員登録できる。その後、毎月抽選が行われ本会員登録に進む。月額7千980円で月2回配送され、1千980円で2ℓを追加できる。追加分は通常の配送に合わせて送られるが、配送料700円で別に発送することも可能だ。
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