コンビニエンスストア(CVS)の「コミュニティ・ストア」が43年の歴史に幕を下ろす。運営会社である国分グローサーズチェーン(=KGC、東京、横山敏貴社長)は7日の取締役会をもって、すべての事業からの撤退を決めた。
CVSは大手3社の寡占化が進み、さらには業種業態を超えた競合が激化。中堅・中小規模チェーンにとっては厳しい展開が続いていたが、そこに昨年来のコロナ禍が直撃し、同社も急速に経営環境が悪化。今後の業績回復が困難であるとの判断から、今回の決断に至った。今年11月末ですべての事業活動を終了し、22年4月末で会社を清算する。加盟店や取引先とは今後話を詰めていくとする。

1970年代初頭から日本に登場したCVS。KGCは78年に創業。酒食品卸大手・国分の系列として、その取引先である一般酒販店の近代化や活性化を目的にチェーン展開を進めていった。

当時、酒類の販売は免許制であり、かつ厚く保護されていたことから、酒販店からのCVS転換はその時点で大きなアドバンテージを持っていた。同社だけでなく、全国各地の酒類卸がCVS事業に参入したのにはそうした理由、背景がある。

スーパー、量販店などに客が流れ、1日の売上げが1万円いくかどうかという“町の酒屋”が、CVSになることで10万円、20万円の売上げを得られる。チェーン運営も多くは本部へのロイヤリティフィーが安価な月定額制のボランタリー方式を採用したことで酒販店からの転換が進んだ。


その後、規制緩和により01年に距離基準、03年に人口基準が廃止されると、酒類の取り扱いがCVSでも標準装備となり、競争優位性が薄れていく。また00年代に入ると、CVS業界の再編淘汰も激しくなり、以降、大手と中堅・中小規模チェーンの体力差はますます広がっていった。

こうした状況下、中堅・中小規模チェーンでは店内調理の導入など独自色の追求や、大手チェーンでは採算が合わないミニマムマーケットに出店。学校や病院、オフィス、工場などの売店事業などに活路を探った。

「コミュニティ・ストア」でもCVS経営や加盟店の経営指導、店舗設備や什器の売買・リースなどを主軸とするボランタリーチェーン本部として事業を展開。他社ブランド店舗へのシステム提供で特色を発揮したほか、近年はオフィスビル内への無人CVS出店(スマピット)も進めるなど、中堅チェーンとして存在感を示していた。

ただ、路面店、ミニマムマーケットともに出店競争が激化。同チェーンのこの4月末店舗数は337店を数えるが、標準スタイルのCVSは50店。残り280店余は、商品供給や店舗設備の貸与、一部経営指導など、加盟先の要望に応じてこれら機能を適宜提供する非標準スタイルが大半を占めている。今春には大手加盟先との契約が終了。150店超の店舗閉鎖を進めていた。
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