
9日、決算発表に臨んだ大塚一男社長は「缶需要の増大は当初予想していた以上のスピードで進んでいる。
アルミ缶が牽引した包装容器事業の売上高は、リベート会計処理など収益認識基準変更額96億円を加味すると、前年同期比で実質119億円増収の2千585億円となった。
大塚一男社長(東洋製罐グループホールディングス) 米子会社のストーレマシナリーは過去最高の売上高を更新し、「24年まで受注を受けている状況」という。日本国内でも家庭内での低アルコール飲料の需要増で缶容器が好調。高まる需要に、4月に東洋製罐石岡工場を稼働しアルミ飲料用空缶生産設備の増強を図って対応したことが奏功した。
「世界的にみると、新興国もGDPの拡大に伴い缶飲料が増えるというのは過去の統計でもみられている。今まで缶の伸びが鈍化していた先進国と新興国の両方で缶市場が拡大しており、この傾向は今後も続くとみている」との見方を示す。

このほど、アルミ缶の内側と外側の両面にポリエステルフィルムを熱圧着させた「aTULC」で製缶・充填一体型の新コンパクトラインを構築した。
通常のアルミ缶の製造工程では、アルミコイル(アルミ板)を加工する際、大量の潤滑油を使い、その後、大量の水を使って洗浄しなければならない。新コンパクトラインでは、ポリエステルフィルムを熱圧着させたアルミ缶を使用することで潤滑油と水の使用を不要とし、CO2排出や廃棄物の大幅な削減を可能にする。これにより大規模設備を不要とし、飲料メーカーの工場内での製缶が可能となる。

新コンパクト製造ライン導入の進捗については「米国で初めて出荷できる予定。米国では缶の供給不足が慢性化していることから、小規模の数量を扱う企業からの引き合いが強まっている。新コンパクト製造ラインは空缶の輸送がなくなるので軽量化について非常にいい環境。『aTULC』などの容器も環境にやさしい容器ということで、世界的に認めていただけると期待している」と説明する。