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前期業績は増収減益。売上高は食肉事業の販売価格上昇や豪州牛肉生産拡大が寄与し1兆3706億円と前期比5.1%増収した。事業利益は収益性の高い商品への集約など加工事業の構造改革の成果があったが、高騰する輸入食肉の販売苦戦などで5.3%減の425億円。
井川社長は「特に下期の計画が下回った。コメや野菜の高騰の影響で小売店では食肉販売が厳しく、輸入肉も下期から特に高騰し、外食メニューが牛肉から豚肉や鶏肉に代わった。消費者視点で対応しないと厳しくなると感じた1年だった」と総括した。
一方、成果として「加工事業の構造改革の他、ボールパーク事業は来場者増により計画以上の業績」と、各事業で今後につながる手応えを得た。
今期は中期経営計画の各改革をさらに前進させる。廃止した海外事業本部の各事業を、北米事業と東南アジア加工事業は加工事業本部に、豪州牛肉事業などは食肉事業本部に移管した。
成長戦略は、24年に提携した他社との「共創」を結果につなげる。国内はJA全農との包括的事業連携、アジアはタイ最大の食品企業CPF社との包括的業務提携を中心に展開する。また、北米では25年1月に米国で鶏肉加工品等を製造販売するLJD Holdingsを子会社化した効果等で売上拡大を図る。
風土改革は、昨年の社内スローガン「変えてもええで」から、今年は「変わらなあかん」と表現を強めた。「現在の激しい変化の中でも、挑戦する組織風土醸成を進め、たんぱく質の価値をともに創る企業を目指す」と決意を述べる。
今期の各事業方針については、加工事業は昨年の収益率改善を優先させた守りから、国内外で「攻め」に転じ、攻めを後押しする新商品も投入する。
海外では、アセアン市場でシャウブランドを展開していく。アセアンのウインナー市場は細挽きが主流だが、シャウエッセンの特徴「粗挽き」で差別化し、新市場開拓に挑む。
食肉事業は、加工事業との連携強化した商品開発と販売、ブランド食肉である国産鶏肉「桜姫」、国産豚肉「麦小町」、豪州産「大麦牛ANGUS」の販売を強化し、ブランド食肉戦略を加速させる。
その他、ボールパーク事業は「飲食とエンタメをさらに強化」する。