全日本菓子協会の「令和6年菓子生産数量・生産金額及び小売金額(推定)」によると、2024年ビスケットの小売金額は前年比3.5%増の4410億円となっている。
8月4日、商品・営業戦略発表会に臨んだ井手規秀常務取締役は「ビスケット小売金額の24年対19年比の伸長率は17.1%増を記録、菓子全体と比較して約4㌽高くなっている」と語る。
徳用袋にとどまらず徳用袋以外の商品も伸長傾向にあることに光明を見いだす。
「ビスケットで(特売対象となる)徳用袋以外の商品が伸びているということは、お菓子としては何かからシフトしてきている傾向がある。今年はチョコレートに加えて米菓の価格も上がることを考えると、ビスケットに流れてくる可能性が高い」とみている。
一方で、課題としてはビスケット売場が売上規模の割に狭い点を挙げる。
「ビスケットの平均棚本数は30年前から3.4本前後で変わっていない。他のカテゴリの平均棚本数をみると、米菓が6.3本、スナックが7.5本となっている」と指摘する。
ブルボンは引き続き、伸長傾向にあるビスケットの棚を広げるべく提案を強化して、小売業の売上拡大に貢献する。
「ここ3年ぐらい(売場拡大の提案を)続けて徐々に広がってきているが、もう1本増やしていただけるように活動していきたい」と意欲をのぞかせる。
ロングセラー商品については「SNSによる情報発信でヒットしたものがロングセラー商品になる可能性が高くなることから、今後は新商品の投入やロングセラー商品に対する仕掛けが必要」との見方を示す。
ビスケット売場の価格に注目すると、ビスケットの平均的な棚割りにおけるビスケット商品の平均価格は203円となっている。平均以下の100~200円をお手頃価格と定め、プレーンビスケットやチョココンビビスケットの提案を強化する。
価格志向や節約志向が高まる半面、ご褒美ニーズにも対応すべく「贅沢ルマンド」シリーズや加工度の高い袋ビスケット、「シルベーヌ」などの半生ケーキを取り揃える。
食事代替や健康志向に対しては「80k㎈ビスケット」や「カーボバランス」の両シリーズ、クラッカーなどを提案する。
なお、菓子業界を取り巻く国内の課題としては、コメの価格高騰や少子高齢化・人口減少を挙げる。その一方、ポジティブな要素として健康志向の高まりやニッチな市場の拡大を挙げ、「ネガティブとポジティブの両方を考えながら商品開発を進めていく」と述べる。