清水氏によれば、宮城県登米市の特定健診では、ナトカリ計を用いて地域住民の尿ナトカリ比を測定し、それに基づく食生活アドバイスや啓発を実施。その結果、地域全体で尿ナトカリ比が改善し、血圧の低下につながった可能性が示された。測定をきっかけに生活改善に取り組み、翌年の健診で血圧が下がった例もあるという。
同協会では現在、全国の自治体で講演会や測定導入の支援を進めている。また、東北大学とカゴメが共同開発し特許を取得した「ナトカリマップ」を健診会場や健康セミナーで配布し、食事によるナトカリ比の違いをわかりやすく伝えている。ただし「ナトカリ比」という言葉自体、まだ一般には浸透しておらず、認知度向上が課題だ。
血圧管理では減塩が第一だが、カリウム摂取の意識も重要である。「例えば外食が続くときはナトカリマップを参考にしつつ、自宅では野菜や果物を積極的に摂るなど、無理のない栄養コントロールを習慣化してもらえれば」と清水氏は語る。
食品業界に対しては、今後、商品表示や公式サイトにカリウム量が記載されるようになることを期待している。将来的にはナトカリバランスに配慮した認証表示の整備も構想にあるという。
最後に清水氏は「栄養コントロールを継続するには“食べる楽しみ”を大切にすることが不可欠」と強調し、ナトカリの考え方を取り入れることで健康的な食生活と“食の満足感”を両立できうると提案した。