
〈文部科学大臣賞〉鹿児島県屋久島町立金岳小中学校の取り組み
屋久島の北西約12kmに位置する「口永良部島」。手つかずの自然が広がり、島全体が国立公園やユネスコエコパークに認定されている。島民の環境に対する意識は高く、住宅地にはポイ捨てごみは見当たらない。
しかし、島の北部にある西ノ浜海岸は、ごみが漂着する場所として知られ、ごみに埋もれて本来あるはずの砂浜が見えないほどだ。そんな環境を改善すべく、同校の児童生徒と全島民が協力してごみ回収に取り組んでいる。
平井央(ひろ)さん(中1)は、「網やブイなどの目立つごみだけでなく、マイクロプラスチックなどの小さなごみもみんなで一生懸命拾っています」と苦労を語る。
その活動中に疑問が生じたことがきっかけで、漂着ごみの実験を開始。プラスチックを洗濯機に入れて、マイクロプラスチックになるまでの様子を再現したり、プラスチックに長時間日光を当てて紫外線や海水による劣化状態を調べたりした。いずれも、自分たちの「気づき」から仮説を立てて「考え」、検証しているのが最大の特徴だ。
世界遺産学習全国サミット会場で活動成果を発表(屋久島)2022年に屋久島で開催された「世界遺産学習全国サミット」では、西ノ浜海岸の現状をはじめ、取り組みの成果を来場者に語り反響を呼んだ。
同校PTA会長の貴舩(きぶね)森(もり)さんは、「子どもたちは、小さい時から地域の問題を共有しながら、解決に向けて大人とともにいろんなことを体験し学び、刺激を受けています。この島の教育の魅力かもしれませんね」と笑顔で語る。
「子は島の宝」と島民に見守られながら、子どもたちは、大好きな島の自然を継承する意思を着実に育んでいる。