演説を行なう吉村洋文前府知事(右)と横山英幸前大阪市長(左)
高市早苗首相による解散・総選挙宣言に乗じて日本維新の会代表の吉村洋文氏から飛び出たのは大阪府知事選、市長選の出直しダブル選挙だった!
突如異例のトリプル選挙に突入した大阪。連立を組んではいるけど、大阪では仇敵同士――そんな自民と維新の複雑な関係が、選挙の現場にただならぬ緊張感をもたらしているようで......。
* * *
【選挙準備が間に合わない】大阪の選挙シーンが大混乱に陥っている。衆議院選挙に加え、大阪維新の会が大阪府知事選、大阪市長選のダブル出直し選挙を仕掛け、投開票日がそれぞれ2月8日に集中する前代未聞のトリプル選挙になったためだ。
トリプル選の最初の火ぶたが切られた大阪府知事選の告示日(1月22日)に、大阪市選挙管理委員会を訪ねてみた。
そこで耳にしたのは、「選挙準備が間に合わない」という悲痛な叫びだった。
「普通は突然の解散による衆院選でも1ヵ月弱、日程がわかっている統一地方選などでは半年前くらいからじっくり選挙準備を進めるものなんです。
ところが、今回は3つの選挙が不意打ちのように突然やって来た。なんの準備もできていないことが本当につらいですね」(選管スタッフ)
大阪市西区役所前の選挙ポスターの掲示板。右から衆院選、府知事選、市長選。1月23日の時点で府知事選の吉村氏のポスターのみ張られていた
府知事選の場合、吉村洋文知事が辞意を表明したのが1月15日。出直し選の告示日が1月22日だから、選管に与えられた準備期間はわずか1週間しかなかった。
その結果、どうなったか。
「トリプル選では掲示板が1ヵ所に3枚、つまり通常の3倍必要になるので、設置場所を3分の1に減らして対応したのですが、それでも知事選用の掲示板は22日の告示日までに間に合いませんでした。
また、各家庭に届く投票案内状も間に合いません。いつもは期日前投票開始日までに届くよう準備するのですが、今回は投票日までに届くことを目標に動いています」
ただ、各政党からは大きな不満は出ていないらしい。なぜか?
「実はあまりに急だったため、告示日までに府知事選の吉村候補の選挙ポスターの印刷が間に合わなかったんです」(大阪維新の会・森和臣[かずとみ]選対本部長)
掲示板もなければ、張るべきポスターもない。本当に異様な選挙光景だ。
寝屋川市の職員らが選挙掲示板を手作りする様子。すべての業者に断られたため、自分たちで作るしかなかったという
それにしても維新サイドはどうして、ろくに選挙準備ができないことがわかっていて、トリプル選挙に打って出たのか?
大阪府議会関係者がこうささやく。
「出直しダブル選の表向きの理由は、過去2度にわたって否決された大阪都構想の是非をいま一度有権者に問うというもの。
ただ、裏の理由もある。府知事選の告示は1月22日で、衆院選の公示は1月27日。出直しダブル選をやることで、維新はほかの国政政党より5日間、早く選挙戦に突入できる。
その間、発信力のある吉村知事が府知事選の名目で府下の衆院選挙区を回り、維新候補の票を掘り起こそうとしているんです」
今、維新は「国保逃れ」で批判を浴びている。同党の地方議員6人が一般社団法人から役員報酬を受け取り、議員報酬ではなく、それよりも大幅に低額の役員報酬を基準とした社会保険料を支払うことによって、意図的に国民健康保険料(国保)の支払いを回避する、という脱法的行為に手を染めていたのだ。
「出直しダブル選でこのスキャンダルをうやむやにしつつ、党勢にブーストをかけようと狙っているのでしょう」
【吉村前知事の演説で目立つ"アンチ"】ただ、衆院選よりひと足先にスタートした府知事選、市長選共に演説会は荒れモードだった。まずは府知事選挙戦初日、吉村前知事の第一声となる大阪難波・髙島屋前での演説会。
選挙カーを中心にぐるりと鉄柵が張られている。そこに入れるのは入り口で手荷物検査を受け、入場シールを衣服に貼った人だけという物々しさだった。
吉村氏の演説を見守る人たち。同氏の支持者であろう人たちの多くが、なぜかミャクミャクの人形を持っていた
その周囲には「嘘つき」「組織的国保逃れ」「NO吉村」などと書かれたプラカードを持つ人たちがいた。彼らは維新の出直しダブル選に批判的だ。
「都構想にもう一度挑戦させてください!」
吉村知事の訴えに、「いつまで言うてんねん」「しつこいぞ、吉村!」とヤジと罵声が飛び交う。
その後の天王寺駅前での演説会でも同じような光景が繰り返された。
吉村前知事が選挙カーの演台に上った途端、聴衆から一斉にヤジが起こる。「国保払え~!」「(出直しダブル選の)費用28億円!」「嘘つき! イソジン!」との大合唱に、ついに吉村知事も頭にきたのか、こう気色ばむ。
「(演説の)妨害はやめろ! なんで妨害するんですか!」
大阪では絶大な人気を誇る吉村知事だが、これだけボロカスに言われるシーンは珍しい。
演説会を遠巻きに見ていた30代女性が言う。
「これまでも都構想を問う2度の住民投票の前に、橋下(徹)さんや松井(一郎)さんの演説を聞きに行っていました。そのときと比べると、聴衆の数が少ないことにびっくりしています。あの頃の維新を取り巻いていた熱気はなくなっていますね」
別の40代女性もこう言う。
「以前はこんなアンチの人々はいませんでしたよ。怒声を上げて危険な印象があるけど、ヤジの中身はけっこうまともだし。そもそも、3度目の住民投票なんて話は聞いたことがない。
だって、吉村さんは2度目の住民投票で敗北したとき、もう住民投票はやりませんと明言していたはず。あの言葉は全部嘘だったの?って感じです」
吉村前府知事の演説にはアンチも出没。同氏の「都構想に挑戦することはない」というかつての発言を撤回したことを
府知事選に立候補した納藤保(なっとう・たもつ)候補(44歳)も遊説で感じた大阪の有権者の変化をこう表現する。
「私が演説で『ほかにやるべきことがいっぱいある。都構想なんて論じている場合じゃないんだ』と維新の都構想を批判すると、途端に大きな拍手が起こるんです。
同じく府知事選に出馬した大西恒樹(つねき)候補(61歳)もこううなずく。
「大阪都構想のように、大規模な開発を想定した政策はもう完全に時代遅れ、終わっています」
3度目の都構想実現に挑む維新の動きに不信を示す大阪府民は少なくないようだ。こんな調子では本番の衆院選で前回と同じく、維新が府内19選挙区全勝をコンプリートできるのか、怪しく見えてくる。
実は維新の「出直しダブル選挙で衆院選にブースト」作戦に、あまり知られていないもうひとつの"ブレーキリスク"が潜んでいる。前出の府議会関係者が言う。
「市内の東住吉区はトリプル選挙どころか、クワッド選挙となっていることはあまり知られていません。衆院選で大阪2区に出馬するために、東住吉区選出の高見亮(りょう)市議(維新)が辞職し、補選が行なわれるためです。
ブーストが不発に終わり、この補選で高見市議の後釜候補が落選するようなことがあれば、吉村知事らが狙う大阪都構想がストップする恐れがあるんです」
大阪市議会の定数は81。維新は過半数ギリギリの41を確保していたが、高見市議の辞職で欠員となり、市議会は与党の維新40、その他の野党40で均衡することになった。
「都構想は市議会が設置する法定協議会で論議の上つくることになっています。野党は維新の都構想に猛反対している。
維新としては来年春の統一地方選で勝利し、再び市議会の議席を過半数に回復させるしか手がなくなる。つまり、この出直しダブル選で吉村、横山の両氏が当選しても無意味になってしまうんです」
【杉田水脈氏の擁立に大阪・自民は反発】1月27日に公示となった衆院選も異様なムードで進んでいる。
その原因は連立を組む自民と維新が一切の選挙調整をせず、ガチンコ勝負しているためだ。大阪の19小選挙区の各区で両党の候補が激しいつばぜり合いを演じている。
大阪の自民関係者が言う。
「大阪・自民にとって、維新は絶対に許せない天敵なんです。維新は、もともとは自民出身の地方議員らが中心になってつくった政党で、いわば身内。それが自民をぶっ壊すと宣言し、実際に大阪の自民を壊滅状態にまで追い込んだ。大阪・自民の国会議員は、15区で比例復活した島田智明衆院議員1人のみです。
永田町では連立のパートナーとして付き合っていけるでしょうが、大阪は別。
昨年7月の参院選で落選した杉田水脈元衆議院議員は、自民公認で大阪5区に出馬。しかし、大阪・自民には反発の声も......
別の自民関係者も、維新と選挙協力する気はさらさらないと言う。
「もし、党本部から維新との選挙協力の指示が来たら、自民党を離党して無所属での出馬に突き進む候補がたくさん出てもおかしくないと思います」
そんな大阪自民の空気を象徴するのが、松川るい自民大阪府連会長のこんな言動だ。
「松川会長は高市早苗首相や党幹部らに、衆院選では連立相手だからといって維新候補の応援に行かないでほしいと要請したんです。高市首相が応援すると、天敵の維新候補に自民票が流出しかねないと懸念してのことです。
あまりの反発の強さに、高市首相は衆院選中の大阪入りそのものを見送る調整をしています」(全国紙政治部デスク)
こうした自民の維新アレルギーは、党本部の候補者選びへの不満となって表れている。その一例が、大阪5区での杉田水脈(みお)候補擁立への反発だ。
「5区は立憲民主党と公明党による新党『中道改革連合』(以下、中道)が候補を立てず、公明票は人物本位で投票先を決めることになっていた。そして、5区での自公の関係は比較的良好なんです。つまり、5区ではそれまでの協力関係を評価し、公明は自民候補に票を回す可能性がありました。
ところが、党本部が擁立したのはよりによって超タカ派の杉田さん。これでは中道を自任する公明は票を回せない。実際にその後、公明は5区では自民と協力しないと宣言してしまった。
そのため公明票が自民に乗らない分、天敵の維新候補が有利になったんです。できれば杉田さんではなく、穏健保守の候補を擁立してほしかった」(前出・大阪自民関係者)
1月23日、公明党大阪本部(西区)の掲示板には、真新しい「中道改革連合」のポスターが張られていた
一方で、維新もまた連立パートナーの自民に神経を逆なでされ、ストレスをためている。それが大阪2区での元維新と現維新同士のバトルだ。
2区では維新を除名となり、自民から推薦を受ける守島正候補(無所属・当選2回)と、前大阪2区支部長で前出の高見候補(維新・新人)が激突する。
「ふたりは共に大阪維新の政調会長を務めたエリート。ただ、守島氏は維新の党運営を不満として離党・除名処分となり、その後に自民会派入りした。その不満分子を自民は推薦して2区に送り込んできた。
維新としては心穏やかではいられない。維新もまた、自民のこの挑発的な擁立行動に内心ではコノヤローと毒づいているはずです」(前出・政治部デスク)
維新の高見候補を直撃したところ、こうファイトを燃やしていた。
「守島さんとは共に都構想の政策をつくってきた仲。食事にもよく一緒に行っていました。それが別々の党の候補として議席を争うことになるなんて本当に残念です。
とはいえ、2区で守ってきた維新の議席を失うことはできない。衆院選ではしっかりと守島さんを倒しにいきます」
連立のパートナーががっぷり四つに組んで争う大阪選挙区は、混乱の様相を呈しながらも、ほかの地域とはひと味違った熱を帯びている。その行方に注目だ。
取材・撮影/ボールルーム





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