開会式では大会アドバイザーの日本代表元監督・岡田武史さんに加えて、ゲストに元日本代表選手のラモス瑠偉さん、さらに劇団EXILEの櫻井佑樹さんが登場した。岡田さんは「この大会の出場選手から年代別日本代表選手になった選手が出ました。世界に行く選手が出てほしいですね」、ラモスさんは「今日の大会、日頃のトレーニングの成果を出してくれたらうれしいです。ミスを恐れないで勝つことにこだわってプレーしてほしいです」、そして櫻井さんは「こういったグラウンドでサッカーができるのは楽しいと思いますし、少しでもみんなの夢をサポートできたら」と子どもたちを激励した。
ウォーミングアップではEXILE TETSUYAさん監修のもと、日本サッカー協会が開発した「クラッキ!ダンス」を行った。
予選リーグは36チームを9グループに分け、各グループ1位の9チームと、2位の9チーム中上位7チームを合わせた16チームが決勝トーナメント進出となる。熱戦の様子を見ていた岡田さんは「何人か面白い選手がいますね」と技術の高い選手に目を見張り、「(愛媛県)今治市で行われる決勝大会はすごく盛り上がるのですが、コロナ禍でできなくてガッカリしていました。今回はすごく楽しみです」と早くも9月の決勝大会に思いを馳せていた。ラモスさんは「子どもたちもこういう機会を待っていたんじゃないかな。女の子の頑張りが目立っているね」と女子選手の活躍を喜び、「負けたときの涙、汗、そして笑顔は感動を与えてくれますね」と必死の頑張りで見せる子どもたちの表情を真剣な表情で見つめる。
午前中の予選リーグを終えると、午後からは決勝トーナメントが行われた。1回戦では2015年の東北大会で優勝した北部FC(山形県)がPK戦の末に敗退。鈴木康浩監督は「今日の経験を中学高校でも生かしてほしい」と語った。同じく1回戦では、今大会で最も遠い地域から参加した潟上JFC(秋田県)も敗退。
準決勝ではBOAVISTA Jr.(福島県)とエスペランサFC(山形県)が対戦し、PK戦の末BOAVISTA Jr.が決勝へ勝ち上がった。エスペランサFCの髙橋政和監督は「昨年新しくチームをつくって初の大きな大会だったので楽しかったです」と語り、初参加で3位となったことを喜んだ。もう一つの準決勝は旭北サッカースポーツ少年団(秋田県)と富田西サッカースポーツ少年団(福島県)が戦い、1-0で旭北サッカースポーツ少年団が勝ち上がった。バーモントカップ全日本U-12サッカー選手権大会で福島県代表に決定している富田西サッカースポーツ少年団の山田拓哉監督は「フローリングと違って(人工芝は)難しかったが、新しい経験になりました」と振り返った。
BOAVISTA Jr.と旭北サッカースポーツ少年団の決勝は、立ち上がり早々にBOAVISTA Jr.の菅野圭斗(かんの・けいと)君が「仲間を信じて走ってあとは触って決めるだけでした」と振り返った豪快なシュートで先制。
惜しくも準優勝となった旭北サッカースポーツ少年団の松田尚監督は「まずサッカーを楽しもうと初めて参加しましたが、まさか決勝まで進むとは思いませんでした。パスサッカーでみんなが連動するところを出せました」と、遠く秋田市からの参加で良い結果が出たことを前向きに捉える。
文=小林 健志 写真=吉田 剛