株式会社LDH JAPANが主催する小学4~6年生のフットサル大会「EXILE CUP 2023」。コロナ禍の影響で3年間は実施を見送られていたが、今年は4年ぶりに開催され、各地で予選大会が行われている。
3会場目の予選大会となる東北大会は7月2日、福島県広野町のJヴィレッジ全天候型練習場にて行われた。

 開会式では大会アドバイザーの日本代表元監督・岡田武史さんに加えて、ゲストに元日本代表選手のラモス瑠偉さん、さらに劇団EXILEの櫻井佑樹さんが登場した。岡田さんは「この大会の出場選手から年代別日本代表選手になった選手が出ました。世界に行く選手が出てほしいですね」、ラモスさんは「今日の大会、日頃のトレーニングの成果を出してくれたらうれしいです。ミスを恐れないで勝つことにこだわってプレーしてほしいです」、そして櫻井さんは「こういったグラウンドでサッカーができるのは楽しいと思いますし、少しでもみんなの夢をサポートできたら」と子どもたちを激励した。

 ウォーミングアップではEXILE TETSUYAさん監修のもと、日本サッカー協会が開発した「クラッキ!ダンス」を行った。
EXPG STUDIO EPIインストラクターmikuさんの指導で、子どもたちはすぐに振り付けを覚え、リズミカルに体を動かしてキックオフに備えた。



 予選リーグは36チームを9グループに分け、各グループ1位の9チームと、2位の9チーム中上位7チームを合わせた16チームが決勝トーナメント進出となる。熱戦の様子を見ていた岡田さんは「何人か面白い選手がいますね」と技術の高い選手に目を見張り、「(愛媛県)今治市で行われる決勝大会はすごく盛り上がるのですが、コロナ禍でできなくてガッカリしていました。今回はすごく楽しみです」と早くも9月の決勝大会に思いを馳せていた。ラモスさんは「子どもたちもこういう機会を待っていたんじゃないかな。女の子の頑張りが目立っているね」と女子選手の活躍を喜び、「負けたときの涙、汗、そして笑顔は感動を与えてくれますね」と必死の頑張りで見せる子どもたちの表情を真剣な表情で見つめる。
櫻井さんは「昔を思い出しますね。小さい頃サッカーをやっていたので、ボールを追いかけている姿を見ると、みんなうまいなと思いますし、自分もサッカーをしたくなります」と、横浜F・マリノスジュニアユースなどでサッカーをしていた頃を思い出したという。



 午前中の予選リーグを終えると、午後からは決勝トーナメントが行われた。1回戦では2015年の東北大会で優勝した北部FC(山形県)がPK戦の末に敗退。鈴木康浩監督は「今日の経験を中学高校でも生かしてほしい」と語った。同じく1回戦では、今大会で最も遠い地域から参加した潟上JFC(秋田県)も敗退。
安田精一監督は「チャレンジさせたくて参加させてもらいましたが、いろんなチームと交流できて良い経験でした」と大会を振り返り、開会式後に選手たちがラモスさんと「鳥かご」で遊んだことに触れて「声かけしてもらった子が生き生きとプレーしていて良い刺激になりました」と“ラモスさん効果”を感じたという。
 
 準決勝ではBOAVISTA Jr.(福島県)とエスペランサFC(山形県)が対戦し、PK戦の末BOAVISTA Jr.が決勝へ勝ち上がった。エスペランサFCの髙橋政和監督は「昨年新しくチームをつくって初の大きな大会だったので楽しかったです」と語り、初参加で3位となったことを喜んだ。もう一つの準決勝は旭北サッカースポーツ少年団(秋田県)と富田西サッカースポーツ少年団(福島県)が戦い、1-0で旭北サッカースポーツ少年団が勝ち上がった。バーモントカップ全日本U-12サッカー選手権大会で福島県代表に決定している富田西サッカースポーツ少年団の山田拓哉監督は「フローリングと違って(人工芝は)難しかったが、新しい経験になりました」と振り返った。

 BOAVISTA Jr.と旭北サッカースポーツ少年団の決勝は、立ち上がり早々にBOAVISTA Jr.の菅野圭斗(かんの・けいと)君が「仲間を信じて走ってあとは触って決めるだけでした」と振り返った豪快なシュートで先制。
BOAVISTA Jr.は前半終了間際にもキャプテンの生田目洋翔(なまため・ひろと)君がゴールを決めて前半で2点をリードする。後半開始早々にも生田目君が「右利きだけど左足で打ち抜くつもりで打ちました」と語ったゴールが決まり、さらにもう1点を取ってハットトリックを達成。旭北サッカースポーツ少年団は試合終了間際に佐藤友人(さとう・ともひと)君が意地のゴールを見せたが、反撃もそこまで。4-1でBOAVISTA Jr.が初優勝を飾り、今治市で行われる決勝大会への切符を勝ち取った。



 惜しくも準優勝となった旭北サッカースポーツ少年団の松田尚監督は「まずサッカーを楽しもうと初めて参加しましたが、まさか決勝まで進むとは思いませんでした。パスサッカーでみんなが連動するところを出せました」と、遠く秋田市からの参加で良い結果が出たことを前向きに捉える。
そして準々決勝、準決勝とPK戦で勝ち上がり、見事に優勝を決めたBOAVISTA Jr.の鈴木伸吾監督は「子どもたちに感謝です。日頃の練習の成果を出せました。一戦一戦やるごとに自信をつけて、決勝で一番良いゲームができました」と苦しみながらも勝ち上がった選手たちの成長を称えた。決勝大会に向けた抱負を聞くと、キャプテンの生田目君は「得点をいっぱい決めて全国でも有名な選手になりたい」、先制ゴールの菅野君は「一番活躍したい」と話す。その意気込みどおり、BOAVISTA Jr.が決勝大会で大躍進する姿を期待したい。

文=小林 健志 写真=吉田 剛