2月下旬にアメリカで開催する『2025 SheBelieves Cup』に出場するなでしこジャパンのメンバー発表が5日に行われ、新指揮官のニルス・ニールセン監督がオンライン会見に出席した。

 なでしこジャパン初の外国人指揮官として就任したニールセン監督にとって、初陣となる今大会ではオーストラリア、コロンビア、アメリカとアメリカ国内移動をしながらの3連戦となる。
これまでA代表未経験の初招集選手はおらず、これまでのメンバーに経験のある復帰組が加わるような陣容となった。

 ニールセン監督は今回の選手選考基準について、「シーズン中の選手を基本的に選んだ。3試合が短い間隔であり、経験がある選手もいる。いろいろなポジションができ、そこでいいプレーができる選手を選び、3試合あるので、いろいろな組み合わせを試すことができると思う」として、現在はシーズンオフであるナショナル・ウィメンズ・サッカーリーグ(アメリカ)やWEリーグでプレーする選手は原則、含まなかったとしている。

 中2日でテキサス、アリゾナ、カリフォルニアと移動を伴う厳しい日程。また対戦相手はFIFAランキング15位のオーストラリア、21位のコロンビア、1位のアメリカと難敵が並ぶ。今大会ではあくまでも「重視することはピッチ上での選手の態度や勝者のメンタリティーといったマインドセット。ミスも出ると思うし、合わない部分もあると思うが、それよりもどういったプレーをするか。どの選手も能力は高いので、気持ちの部分、全力で戦っているかなどを重視したい。相手も強豪で、必ず勝てるかはわからないが、いかに戦えるかをメインにしている」と、初めて自身の元でトレーニング、試合をすることもあり、内容やパーソナリティを重視する姿勢を強調している。

「フォーメーションは4-4-2、4-3-3をオプションとして考えている」と戦術にも言及。主導権を握ることを前提とし、前線にかける枚数も増やしたいところからの逆算で3バック(5バック)にすることは「おそらくない」と続けた。


 初招集の選手はゼロ。その中でレスターに在籍する籾木結花が東京オリンピック以来、約4年半ぶりの招集となった。ニールセン監督は「4年半空いていた理由はわからない」とし、「(所属先で)比較的レギュラーでプレーしている選手を選んだ。今、いいプレーをしているし、チームにフィットすると思う」としている。また、A代表157試合出場を誇るロンドン・シティ・ライオネス所属の熊谷紗希については、「今回の発表前にも会話をしたが、全力を尽くすと話してくれた。ピッチ内外でいろいろな役割ができる。チームにおいて、これまでと違う役割を与える可能性もあるが、経験豊富で素晴らしく、どのチームにもいてほしいと考える選手だ。プレーを楽しみにしているし、今大会を経て、役割も変わるかもしれない」と続け、主将を務めるかも含め、本大会での経過を見てほしいとしている。

 守備陣の構成については、サイドバックをメインのポジションとしている選手が北川ひかる一人だけ。清水梨紗は負傷中、守屋都弥はシーズン前のエンジェル・シティーFC(アメリカ)に移籍したばかりなど、陣容が薄い。4バックを基本とすると明言している中、「オフェンススキルも重要」と、攻守において貢献できる選手を望んでいるとし、「いろいろな選手を試して、ハマる選手もいるだろうし、成長する選手がいるかもしれない。(2026年の)アジアカップくらいまでには適した選手を見つけたい」として、選手選考やオプション起用など、思案していくテーマの一つとしている。


 今大会ではシーズン中の選手やA代表経験者で構成されることになったが、4月に予定している親善試合では「シーズンに入るリーグも増え、コンディションも良くなっていると思うので、リストに入ってくる。経験が少ない選手もシーズン中になれば、起用しやすくなる。今回のメンバーで3連勝したとしても、4月にはメンバー変更も考えている。さらに幸運なことに今年はEAFF E-1選手権があるので、そこで日本国内の選手にもチャンスを与えられるから、より多くの選手を見ることができる。経験ある選手と少ない選手をうまくミックスすることが代表チームにとって、いいことだと考えている」と、まずは多くの選手、組み合わせ、可能性を探っていく年にしていきたいとまとめている。

取材・文=小松春生
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