株式会社LDH JAPANが主催する、小学4年生から6年生を対象としたフットサル大会『EXILE CUP 2025』。6番目の予選大会となる東北大会は2025年6月28日、宮城県松島町の松島フットボールセンターにて行われた。


 開会式には橘ケンチさん(EXILE / EXILE THE SECOND)と、4人組ボーカル&ラップグループのWOLF HOWL HARMONYが登場。橘さんは「みなさんにとって素晴らしい思い出となる1日にできるようサポートしていけたらと思っていますので、今日も1日仲間と笑顔で頑張っていただきたいと思います」と選手たちを激励した。HIROTOさん(WOLF HOWL HARMONY)は「ケガに気をつけて、そして熱中症に気をつけてしっかり水分補給して、次のステップにつなげられるような最高の大会にしていきましょう!」と会場を盛り上げた。

続いて、EXPG STUDIO EPIインストラクターMIKUさんの振りつけ指導によるウォーミングアップ。選手たちはEXILE TETSUYAさん監修のもと日本サッカー協会が開発した「クラッキ!ダンス」で元気に体を動かし、予選リーグを迎えた。

 予選リーグは48チームが12ブロックに分かれてリーグ戦を行い、各ブロック1位の12チームと、2位のうち上位4チームを合わせた16チームが決勝トーナメントに進出する。今大会は開催地となった宮城県のチームが多いなか、県外から遠征してきたチームの健闘も目立った。

福島県河沼郡会津坂下町から参加したAC バンビィは1勝1分1敗で惜しくもグループ敗退となったが、田中秀昭監督は「他県の強いチームと対戦できるなかで、今までやってきたボールの回し方とか、ゲームの作り方はできてきていると思いました」と、チームの出来に手応えを得ていた。キャプテンの代島侑浬(だいしま・ゆうり)くんは「楽しかったけど、もっと強く当たれたと思います」と課題を語り、この経験を次のステップに生かそうとする意識が感じられた。

 試合の合間には、大会に駆けつけたアーティストと選手たちが触れ合う機会もあった。サッカー経験者のRYOJIさん(WOLF HOWL HARMONY)は「合間の時間にアップエリアで選手たちと一緒にボールを蹴ったのですが、みんなピュアな気持ちで『どんな練習してたの?』とたくさん聞いてくれました。試合が終わると僕を見つけて、『どうだった?』と感想を聞いてきてくれて、みんなのパワーがすごくあふれていました」と、子どもたちとの交流を楽しんだ様子。


 同じくサッカー経験者のGHEEさん(WOLF HOWL HARMONY)は「レベルがすごく高くて、パスワークで崩せていて、小学生にしてチームの連係をみんな理解していることにすごく感動しました」と、参加チームのハイレベルなプレーに驚いていた。

 予選リーグが終了すると、16チームによる決勝トーナメントが始まる。勝ち上がったチームは、『EXILE CUP 2018』東北大会で3位入賞を果たしたMESSE宮城FC(宮城県仙台市)とヴィペール弘前FC(青森県弘前市)、『EXILE CUP 2015』東北大会で準優勝したFORTE福島FC(福島県福島市)など、過去の大会で好成績を残してきたチームもあった。ハイレベルな戦いを勝ち上がったのは、アビーカ米沢FC(山形県米沢市)と千刈フットボールクラブ(青森県青森市)。いずれも準決勝で大量得点を挙げ、攻撃力を武器に決勝へと駒を進めた。

 決勝戦で先手を取ったのは千刈フットボールクラブだ。足元のテクニックを生かした攻撃を見せ、うまくパスをつないで斎藤昊(さいとう・そら)くんが先制ゴールを決める。さらに後半開始早々、CKから再び斎藤くんがゴール。「みんなで練習していた」(斎藤くん)形が決まり、リードを2点に広げた。

 しかし、アビーカ米沢FCはあきらめない。「時間もあったし、点を決めて試合の流れを変えようと思いました」と語った大類敦人(おおるい・あつと)くんのゴールで1点を返すと、キャプテンの吉野潤太(よしの・じゅんた)くんがFKからヘディングで同点ゴールを決めた。「うまく頭で合わせられて良かったです」(吉野くん)という同点弾で勢いに乗ったアビーカ米沢FCは、大類くんのキックインが相手選手に触れゴールに入り逆転に成功。
その後は千刈フットボールクラブの反撃をしのぎ、3-2でアビーカ米沢FCが逆転勝利を収めた。

 初優勝で全国大会への切符を手にしたアビーカ米沢FCの木内淳一コーチは、「ゲームを捨てたら終わりなので、最後までゲームをするということを常に言っていました」と、最後まであきらめない姿勢を選手たちに求めてきたことが生きたと振り返った。2得点を挙げた大類くんは「不利な状況だったけど、あきらめないことが大事だと思いました」と勝利の要因を語った。また、キャプテンの吉野くんは全国大会に向け、「自分たちの特長を生かして、パスをしっかりつないで、声を出して勝てるように頑張りたいです」と声に力を込めた。

 一方、惜しくも準優勝となった千刈フットボールクラブの野藤広光監督は「2-0まではこちらのペースでしたが、ファウルをしてから相手チームのベースになってしまい、立て直せませんでした」と試合を振り返った。2得点を挙げた斎藤くんは「2点リードしていたんですけど、最後に油断してしまって、3点を取られてとても悔しかったです。今度こういう決勝になったら、このことを思い出して、最後まで油断しないで勝負したいです」と、悔しい経験から大きな学びを得たようだ。

 SUZUKIさん(WOLF HOWL HARMONY)は決勝について「楽しくワクワクしながら見させていただきました。どちらのチームもすごく素晴らしかったですね。本当に感動しました」と、子どもたちの真剣勝負を楽しんだ様子。HIROTOさん(WOLF HOWL HARMONY)は「東北大会はみなさんの熱量がすごいなと思いました。もちろん選手のみなさんもそうなんですけど、ベンチの監督さんや控え選手たちの掛け声もすごかったです」と、熱いぶつかり合いに刺激を受けていた。


 橘さんは今大会を振り返り、子どもたちに対する温かいエールを語った。
「仲間と一緒に勝利をめざす姿勢は、たぶん今後中学、高校、その後社会人になって必要な場面が出てくると思います。集団で頑張ることの意義を子どもたちには学んでほしいです。あと、こういう大会は家族のサポートがなければできないと思うので、日頃支えてくださっている家族の方や監督に、改めて感謝の気持ちを持って頑張ってほしいなと思います」(橘さん)

 橘さんの言葉どおり、「仲間と一緒に勝利をめざす」こと自体に大きな意味がある。『EXILE CUP』に参加し、力を合わせて戦った全ての選手たちが称えられるべきだろう。そして、優勝したアビーカ米沢FCのメンバーには、全国大会でも伸び伸びと実力を発揮してくれることを期待したい。

取材・文=小林 健志 写真=高橋 禎晃(アドステージ)
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