大会フォーマットが大幅にリニューアルされ、総勢32チームが“世界一”の座を目指して激闘を繰り広げた今回のクラブワールドカップ。6月19日の開幕から約1カ月にわたって行われた今大会は、チャンピオンズリーグ(CL)を制したパリ・サンジェルマン(PSG)を決勝で破ったチェルシーの優勝で幕を閉じた。しかし、日程の過密化を問題視するFIFPROは、以前よりクラブワールドカップの刷新に反対を表明。欧州競争法違反の可能性があるとして昨夏に国際サッカー連盟(FIFA)を訴訟していたが、FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は「世界的クラブフットボールの黄金時代が始まった」と大会の重要性を強調していた。
そうしたなか、クラブワールドカップ終了後にセルジオ・マルキ氏が声明を発表し、FIFAが称賛した今大会を痛烈に批判。「この大会が多くのファンに熱狂を生み、世界のトップ選手を一堂に見られる場になったことは認める。ただ、その裏にあるのは、大多数の選手が直面する現実との危険な断絶だ」と選手のコンディションや健康への悪影響を懸念している。
また、「フットボールの世界的な祭典として発表されたものは、対話も配慮も日々の努力でフットボールを支えている人々への敬意もなく、FIFAが作り上げ、会長が推進したフィクションに過ぎなかった」と厳しく非難した。
さらに、「この壮大な演出は、まるでローマ皇帝ネロの『パンとサーカス』を思わせる。観衆に娯楽を与えながら、その舞台裏では不平等・不安定、そして真の主人公(選手)たちへの保護の欠如が進んでいる」と主張。第5代ローマ皇帝“暴君”ネロは、豪華な競技や催し物を開催しながら庶民の支持を集めた一方、残虐性でも知られる人物だ。セルジオ・マルキ会長は、そんなネロとインファンティーノ会長を重ね合わせ、クラブワールドカップの存在意義に疑問を投げかけている。