大手企業も採用。令和でも必要とされているハードな社員研修
心と体を鍛え上げるハードな社員研修は令和でも必要とされている。食品大手の日清食品ホールディングスでは、コロナ前までは頻繁に「無人島サバイバル研修」を実施。文明社会から隔絶された自然の中で生活することで自活力を磨き将来の「骨太の管理職」を育成するという。また、ゲームソフト制作大手のバンダイナムコエンターテインメントでも、新入社員向けに「MANZAI研修」を行い、大勢の厳しい視線が集まるなかオリジナル漫才を披露させ、自分の殻を打ち破る経験を積ませている。
“地獄の訓練”として名高い管理者養成学校
そんななか、多くの企業がこぞって社員を送り込む「社員研修」がある。企業の幹部候補生を育成する“地獄の訓練”として名高い管理者養成学校だ。そう話すのは社員教育所の広報担当者。これまでに延べ30万人が受講したという特別プログラムは、ブートキャンプの要素も盛り込まれているという。
会社と同じ環境を再現し強靭なメンタルをつくる
人前で歌う、ひと晩で40km行進。社会と断絶して自分を追い込む
強靭なメンタルをつくり上げる特別カリキュラムはまだまだある……。地獄の訓練を乗り越えて、一生使える強メンタルを手に入れる
「覚悟ができていたため、逃げ出したいと思ったことはなかったですね。むしろ、何事にも全力で取り組むことで、何にも動じなくなりました」
コンプライアンスが厳しい現代においては、「時代錯誤」という声もありそうだが……。
「働いていると、どうしても課題に向き合わなければいけないことはよくあること。
肝心の受講料は36万5000円ほど。地獄の訓練を体験することで一生使える強メンタルが手に入ると考えれば、安いものか。
「地獄の訓練」の一日
起きたら布団を綺麗に片付けて、すばやく訓練服に着替えて、日替わりの班長、副班長の交代式を行う
6時00分~ 朝礼で一人ずつスピーチ
全員が校庭に集まる。内容は班長の報告、校歌斉唱、ラジオ体操、スピーチなど。
7時00分~ 朝食・清掃
清掃は自分たちの部屋の中だけでなく外も隅々まで掃除しなければならない。合格が出るまで何度もやり直す
8時00分~ やり直しが続く訓練
ラジオ体操の練習など。動きが違ったり、声が小さければイチからやり直し。その他挨拶の練習、行進、速記など
12時00分~ 昼食・休憩
「いただきます」の声は全員で一斉に。少しでも伸ばすとやり直しさせられるため食事中も気が抜けない
13時00分~ 訓練
管理者としての基本動作10か条を暗記。500字以上を丸暗記しなければならない。
19時00分~ 座り方を指導される夕食
ごはんやおかずの配膳の仕方はもちろんのこと、食事の姿勢や箸の使い方、椅子の座り方まで厳しく指導される
19時30分~ 報告書作成
報告したい内容を簡潔な文章で表現する。報告書の基本的な書式や書く習慣が鍛えられ、明解な表現が身につく
20時00分~ ルールがある入浴
「頭からお湯を1~2杯かぶる」など入浴の仕方にもルールがあり、入る前に全員で確認しなければならない
21時00分~ 携帯がない自由時間
忙しい一日の中での唯一の自由時間だが、携帯が使用できないため、自然に班員と対話が増え仲良くなる
22時00分~ 就寝
訓練服を脱いで班員全員で就寝。22時30分完全消灯のため、話したり電気をつけていたりすると厳しく注意される
<取材・文/週刊SPA!編集部>
―[[強メンタル]を育てる方法]―