「ガイアの倒産後、メーカーだけでなく周辺機器を取り扱う企業からも『ガイア以外のホール会社は大丈夫か』という問い合わせがひっきりなしに相次ぎました。最近は少し落ち着いたと思ったのですが、新札発行を巡って閉業するホールが増加するのではないかという懸念が広まり、問い合わせは増えています」
ガイアが倒産した特殊な事情と中小のホール事情
こうした問い合わせに対して、「当面は倒産することはない」と返答しているという。その理由はガイアが抱えていた特殊な事情も影響しているからだ。「ガイアの倒産は業界関係者だけでなく、我々のような信用調査会社の間でも“既定路線”でした。売上も年々右肩下がりを続けていただけでなく、社長が11年には覚醒剤で逮捕されるなど、まともな会社とは思えない不祥事も起こしています。加えて、『ガイアは出ないから客がいない』というのはもはやパチンコ業界だけでなく、我々のような調査会社でも周知の事実でした。
パチンコファンの間で「ガイアは出ない」と言われていたことを、信用調査会社も把握していたとは驚きである。こうした事情もあり、ガイア倒産は特殊な事例と、この調査員は解説するが、「中小ホールにとって今年は冬の時代になる」とも指摘する。
「2022年1月に旧基準機撤去に伴う台の入替に始まり、スマスロ、スマパチの導入。そして今年は新札対応の周辺機器導入と、設備投資の波がここ数年、パチンコ業界を襲っています。大手ホールでも負担は大きいのに、中小ホールにとっては死活問題です。
パチンコ業界が陥る悪循環
また、パチンコ業界が陥り始めている悪循環も、今後は大きな問題となって襲いかかると指摘する。「パチンコは出ないホールにはお客さんは行きません。そうなると売上が減るのは火を見るよりも明らかです。おまけに新台価格や中古台、光熱費、人件費の高騰で利益率はさらに減っていき、ホールはさらに出玉を削って利益を確保しようとします。その結果、客が離れるだけでなく、『パチンコ=出ない』や『パチンコ=負けて当然』という見方が一般化してしまうと、新規のファンを獲得するのも難しくなるでしょう。完全に悪循環に陥っているのです」
業界一丸となって打開策を考える時が来た
「パチンコ業界は特殊な業界と言われますが、顧客離れや規制によって環境が変化して問題化するということは、パチンコ業界だけに起こる問題ではありません。
加えてこうした規制に対して、行政や管轄する警察庁に対してのアプローチが、パチンコ業界は非常に弱い。ホール、メーカーなどが一丸となってアプローチしていくべきでしょう。よくパチンコ業界は警察の天下りでベッタリなんて言われますが、それならそういう方をもっと使ってネゴシエーションしていくべきです」
今のパチンコ業界は手をこまねいている暇などないのである。
取材・文/日刊SPA!取材班