就職氷河期世代はこれまでの人生においてさまざまな困難を乗り越えてきたわけだが、40-50代になって迎える新たな難問が「会社でどう生き残るか」だ。人生後半も過酷な彼らは、いかに生き抜いていくべきか? 同世代のひろゆき氏が考える。
目先の利益を出すより「逃げない人」という信頼が、組織内での生存率を高める
会社に重宝される人というと、スキルや資格を持つ人を思い浮かべがちですが、実際には別のところで評価されていることも多かったりします。そこそこの規模の会社になると、出世するにはスキルだけではなく、「信頼」とか「信用」が重視されるからです。会社からすれば、スキルのある人材は外注や業務委託など、お金である程度解決できます。それに、スキルや資格はもともと能力の高い人が持っていたり、短期間の努力でも手に入ったりします。
一方で、信頼は時間をかけてしかつくれません。中途入社の優秀な人でも、社風に合わなければ転職していなくなるリスクは残ります。実際、優秀な中途の人に営業部を任せたら、チームごと引き抜いて他社に行ってしまった、みたいな話もありますし。
だから会社は、わかりやすい能力よりも「やらかさない」というか、責任を持って逃げない信頼感のある人を責任者に配置しがちです。失敗や能力不足は別の人で挽回できますが、責任者が飛ぶと会社の信用問題に関わりますしね。
修羅場みたいな部署に配置されても、「トラブルになっても命を取られるわけじゃないし、頭を下げればいいや」くらいの気分で乗り越えられる人のほうが、周りから見ても一緒に働く安心感があります。
成果を出すことが大事なのは当然ですが、利益は出さなくても、撤退戦に耐え切れる人だって会社には必要。日本社会で出世したいなら、命令から逃げない耐久力が評価される現実があるわけです。
そう聞くと、「それは、これから出世していく若手の話でしょ?」と感じるかもしれませんが、そんなことはありません。
不景気になると、会社は新しく人を採るより、既存の雇用契約を守る方向に動きます。そうなると、氷河期世代の「便利な人」は、そのまま残れる可能性が高い。派手に評価されるわけではないけど、組織から排除されない位置に居続けられるわけです。
「他人事」と考えて、さっさと謝るスキル
もちろん、いまさら「逃げない姿勢」を見せたところで、評価が大きく跳ねることはあまり期待できないでしょうし、リターンは限定的だと思います。それでも、誰も引き受けたがらない仕事を受けたり、トラブル処理や後始末の場面で「逃げない人」という信頼感があれば、社内生存率を高める効果があるのです。それに必要なのは根性や精神力ではなく、感情を切り離し“他人事”として捉えてさっさと謝れるかどうか。頭を下げて終わるなら、さっさと頭を下げたほうが消耗は少ないし、そのほうが、確実に人生は楽です。
氷河期世代のフィールドは、若手と同じ土俵ではないですが、いまこの瞬間が、人生の中で一番若い状態なのは事実。そう考えれば、こういう動き方を今から始めるのも悪くない選択だと思うし、長期的には、そのほうが楽できると思いますよ、たぶん。
構成・撮影/杉原光徳(ミドルマン)
―[ひろゆきの兵法~われら氷河期は[人生後半]をどう生きるか?~]―
【ひろゆき】
西村博之(にしむらひろゆき)1976年、神奈川県生まれ。東京都・赤羽に移り住み、中央大学に進学後、在学中に米国・アーカンソー州に留学。
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