両親が検察官、兄は一流企業勤務経験のあるサラリーマン……華麗な経歴の家族に囲まれながら、「ほぼパパ活で生きてます」と笑う女性がいる。25歳のあずきさん(仮名)。
スレンダーで屈託のない笑顔が印象を残す美女だ。
 東海地方に生まれ、18歳で大学進学とともに上京。以来、性風俗店に勤務しながら“担当(推し)のホスト”を応援する毎日だ。そんな彼女の、これまでとこれからを聞いた。

両親は検察官の超エリート一家に育つも「パパ活で生きてます」。...の画像はこちら >>

月200万の稼ぎをホストにつぎこむ

――大学1年生のときから性風俗店に勤務して稼いでは、ホストに通っていたとか。かなりの金額を使いましたか。

あずき:そうですね。だいたい月150~200万円を稼いで、ほぼ全額を担当(※お気に入りのホストのこと)のために使っていました。

――全額使ったら、生活費とか家賃とかは……。

あずき:親からの仕送りで賄っていました。なので自分が稼いだお金はフルベットできたんですよね。これは現在もそうですが、物欲もほとんどなくて、「ハイブランドを持ちたい」みたいな欲求もないんですよ。“推し活”に全部かけていた感じです。


高校の時点でホストにハマる素養が

――どうしてそこまでのめり込んだのでしょうか。

あずき:高校時代からSNSにあがっているホストクラブの動画を見ていて、「大学生になったら行こう」とは思っていました。それと、もともとの気質もあるでしょうね。こう見えて尽くすタイプなんですよ。男性に限らず、仲の良い女友達がお金に困ってたら「返ってこなくてもいいや」と思って貸すし、ハイブランドが欲しいなら買ってあげるし。モノには執着しないけど、人には執着するタイプだと思います。

――執着エピソードがあれば。

あずき:高校時代は、5人くらいの女子グループでずっとつるんでいました。私は常に一緒にいなきゃダメで、トイレも一緒です。自分がトイレに行きたかったとして、休み時間に誰もトイレに行かなかったとしますよね。そうしたら、そのときは我慢して、授業中に行っていましたね。私がいないときに、ほかの女の子だけで話が進んでいくのが嫌で。それはもしかすると、実際にそういう場面に遭遇したことがあるからかもしれません。
ある女の子がトイレで不在にした瞬間に「今度ほかのメンバーで遊び行こう」となったことがあって……。

「1ヶ月で300万円」の依頼には応えられるが…

――人に執着するタイプのあずきさんにとって、ホストはどんな存在ですか。

あずき:どんなに面倒くさい面を見せても見捨てられない安心感はありますよね。実際、昔、担当がアフターに行っているであろう時間帯に連絡がつかなかったことがあって、気づいたら130回着信を入れていたことがありました。それでも、あとから「ごめんね、電話でられなくて」とフォローしてくれるんですよ。実生活で誰かにそんなことをしたら、“やばいヤツ”確定じゃないですか。ホストはそれでも対応してくれるので。

――“推し”のホストのために性風俗店で稼ぐというのは、あずきさん的には納得しているんですか。

あずき:してますね。私、1カ月くらいのショートスパンでしか頑張れない人間なんですよ。ホストの場合、1ヶ月ごとに売上の「締め日」があるんですが、それまでに担当から「◯◯万円の売上を作りたい」と言われたら、絶対に達成します。以前も、「1ヶ月で300万円使ってほしい」と言われて、急いでパパ活を頑張ったことがあります。これが「1年間で1500万円使ってほしい」とかの先の長い話だと、無理でしょうね(笑)。


海外出稼ぎで月1000万円を稼いだことも

――ホストを応援するため、海外出稼ぎまで手を出したと聞きました。

あずき:事実です。これまで、カナダ、アメリカ、オーストラリア、韓国、マカオ、中国に行きましたね。何回か訪れた国もあれば、1回しか行っていない国もあります。やはりここでも、出稼ぎ期間は1ヶ月です、ホストの締め日があるので(笑)。

――海外出稼ぎというのは、どういうシステムですか。

あずき:カナダだけでは日本の性風俗店と変わらないスタイルで、ほかの国はお客さんの前に女の子がずらっと並んで直接指名をされるスタイルでした。現地に着くと寮が用意されていて、だいたいどの国も、そこから徒歩5分くらいの店舗で働くことになります。基本的には1日の給料から寮費を引いた分を手渡されるシステムです。海外はチップの文化があるので、日本よりも全然稼げます。稼げない国でも月600万円はいきました。最も稼げたのはカナダで、月1000万円を超えましたね。

――現在、主な収入源はパパ活と性風俗店とガールズバーでしたよね。


あずき:そうなんですが、性風俗店はほとんどもう出勤していないんですよね。ガルバは、夜中に暇だとホストに行ってしまうので、自分を拘束するために働いているようなもので……すごい収入を生むかと言えば、それは違います。パパ活は現在4人ほどのお客さんがいて、1回あたりの金額が3~7万円ですが、時間が短いのでコスパがいいです。なぜか「生活を応援したい」と言って、月にそれなりの金額を振り込んでくれるお客さんもいるんです。

――なかなかの肉体労働ではありませんか。

あずき:正直な話、私、なにも感じないんです。初体験は中学時代、親友が交際していたヤンキーの先輩だったんです。ちょうど親友との関係性がギクシャクしてたときで、腹が立って。先輩のほうから誘ってきたので、親友への復讐みたいな感じで関係を持ちました。でも、「ぜんぜん何も感じないな」と思って。

「性欲がない」からこそ、割り切れるのか

――そうすると、性風俗店に勤務していたときも、パパ活をしている現在も、何も感じない。

あずき:感じないです。感覚としては、男性が勝手に果てるだけで。
こんなことでお金が結構もらえてしまうので、割がいいんですよね。

――現在、担当ホストと同棲中ですよね。パパ活のときと彼氏の場合で、営みにどのような違いがあるのでしょうか。

あずき:彼氏とは、しません。私は性欲がないんです。そこを理解してくれる人でないと、付き合わないんです。

――一般的に、性行為で愛情を表現することがありますよね。あずきさんにとっての愛情表現とはどのようなものでしょうか。

あずき:記念日を月単位で一緒にお祝いしてくれたり、総じて「私のために時間を使ってくれるかどうか」で測ることが多いですね。性行為は私にとって仕事でしかないので、それが愛情だと感じたことはないです。

ホスト通いを知った両親の反応は…

――ご家庭について質問します。いわゆる超エリート一家だと思いますが、どんな雰囲気でしたか。

あずき:テストの点数は見せていたような……。
ただ、ほとんど勉強しなくても点数は取れていたので、親からそんな悲惨なリアクションをされることはありませんでした。一方で、兄は優秀で運動も勉強もできたので、私自身はそこまで期待されていないのは自覚しています。生きていればいい、みたいな(笑)。あるとき、「お兄ちゃんよりはできない子」と言われたのは覚えていますね。担任の先生からも同じことを言われた経験があります。

――地味にきつい言葉ですが。

あずき:うーん、でも、心のなかでは「確かに兄よりできないけど、人脈作りなら私のほうがうまいから、人生はきっと私のほうが楽しいはず」と思ってましたね。実際、いろんな人との関係性で仕事を獲って生きてこられていますし。

――当然、ご両親は、現在のあずきさんの生活実態についてご存知ないわけですよね。

あずき:母はほとんどを知っています。きっかけは未成年のときにホストの売掛金を払えなかったことがあって、親に連絡が行ったんですよ。それで両親にバレてしまって。

――厳格なご両親の反応は。

あずき:確かに威厳はあるんですが、怒鳴ったりはしないんですよ。「どうして通うことになったのかな?」「きっかけはなにかあるのかな?」と。まるで取り調べみたいでした(笑)。現在、父にはガールズバー勤務だと伝えていて、母にはほぼ全部知られています。母からは「私たちの立場もあるから、警察のご厄介にだけはならないでよ~」と言われています。

マザコンに悪い子はいない?

――将来的に、どのような人生設計がありますか。

あずき:彼氏とは婚姻届も書いているんですよね。将来は資格試験に挑戦して、自分も彼氏も夜職のつてを使って生きていけたらと考えています。子どもがほしいね、とは2人で話していて。

――失礼ながら、かなり意外です。

あずき:そうですか(笑)? 家庭に憧れはあるんですよ。「子どもは絶対マザコンに育てよう」というところまで、彼氏と一致しています。マザコンに悪い子はいないからです。マザコンの場合、すぐに家に帰るから不良にもなりにくいでしょうし。私は自分と母の関係性が理想だと思っていて、なんでも話せる親子になりたいですね。

=====

 パパ活で莫大な収益をあげていると聞けば、手練手管で人を騙し、必要ならば奈落へ突き落とす悪女を思い浮かべる。だが目の前にいるあずきさんは、執拗なまでに人に追いすがり、その手段として自らを商品とした女性だった。自分から波乱の渦に飛び込んでいった彼女が、月並みな幸せを「理想」と語ったことに味わいを感じる。

<取材・文/黒島暁生>

【黒島暁生】
ライター、エッセイスト。可視化されにくいマイノリティに寄り添い、活字化することをライフワークとする。『潮』『サンデー毎日』『週刊金曜日』などでも執筆中。Twitter:@kuroshimaaki
編集部おすすめ