2022年6月に「AV出演被害防止・救済法」が施行され、業界の契約事情は大きく変化した。しかし、それ以前は事務所と女優側の関係が曖昧なことも多く、ギャラ未払いなどのトラブルが起きていたのも事実だ。

人気セクシー女優が「AV新法」以前の壮絶なトラブルを告白。洗...の画像はこちら >>
2019年に華々しくデビューした天川そらさんは、当時所属していた事務所側からのギャラ未払いを二度経験したという珍しい過去を持つ。しかも一件目では、被害総額が数百万円規模に及んでいたそうだ。今回は、そんな当時の出来事について、今だからこそ話せる胸の内を明かしてくれた。

「家族を養うため」に飛び込んだセクシー業界

――セクシー女優が所属する芸能事務所に入ったきっかけは何ですか?

天川:デビュー当時、私は家族を養うために稼がないとならなくて、友人からセクシー女優系の芸能事務所を紹介されたんです。でも、その友人は紹介した事務所からスカウトバック(女性をセクシー女優系事務所に紹介し、その女性が働いている間はスカウトした側にお金が入り続けるシステム)をもらってたんですよ。しかも、「あなたのために、いろいろとしてあげているのよ」と言われて、なぜかGPSもつけられて半年間囲われていたんです。ここでは友人と言っていますが、今思えばそれも疑わしい仲でした。

――その友人に管理されていたんですね。

天川:他の人と会うことも制限されたり、眠いのにいろんな場所に連れまわされたり、食事の時間やメニューまでコントロールして、考える時間を奪うんです。こうして“洗脳”されていたんですね。

――天川さんは意思が強そうに見えますが、当時はあまり自己主張しないタイプだったんですか?

天川:「私が考えていることは100%正しいとは限らない」という考えを持っていたので、自分の意思はあるんですけど、人の意見も否定しない性格だったんです。でも、そういう曖昧な態度がいけなかったんだろうなって思います。

――そこにつけ込まれましたか。


天川:意思はあるんですけど、押しつぶされて、モヤモヤだけがたまっていく感じの状態でした。

最初の所属事務所でギャラ未払いに

――そして、その時に所属していた事務所では、ギャラの未払いがあったそうですね。その事務所にはどのぐらい在籍していたんですか?

天川:2019年のデビュー時から3年ぐらい在籍していました。

――天川さんがデビューした2019年は、いわゆる「AV新法」がありませんでしたが、メーカー側から支払われるギャラの総額は、事務所から示されていたんですか?

天川:ギャラの総額を出演者側にも開示しないといけないという、プロダクション協会の規定ができたころでした。だから、「そのタイミングでルールができたんだったら、デビューするのもありかな」って思ったんです。

――ということは、契約したメーカーから支払われるギャラの総額はわかっていたんですか?

天川:はい、わかっていました。

――ギャラの総額は、メーカー側から所属事務所に、一旦振り込まれるんですか?

天川:そうです。事務所にメーカーから一旦ギャラが振り込まれます。なので、一時、事務所が私のギャラを預かる形になるんです。

――それは芸能事務所と同じ仕組みですね。

天川:何かあったときに、責任の所在問題に発展しかねないので、出演者側にはメーカーから直接振り込まれない形態になっているんです。

――デビュー当初は事務所側から、ちゃんとギャラが払われていたんですか?

天川:初めから怪しかったんです。まず私を事務所に紹介した友人にギャラを渡してたんです。
その友人は「この子(天川)は、すごく精神的に不安定なので、お金を全部使っちゃうんです。だから、私が預かって管理します」って言い、事務所の社長も信じていたみたいで、預けていたんです。その友人を経由しているので、最終的に私がもらえる額は、ギャラの総額の25%ぐらいでした。

――まずは事務所が半分ギャラをもらい、その友人がさらに半分もらうんですね。

天川:しかも、私はその友人に囲われていたので、友人宅の家賃、食事代、光熱費も、諸経費という名のもとに払わされていたんです。その状況がデビューから約1年間も続いたんです。

――よく1年間も我慢しましたね。

天川:友人を信じ切っていたんでしょうね。しかも、その友人は、私のファンに「天川は時間にだらしない、自己管理ができない」とか悪口を言いふらすんです。それを聞いたファンが「天川さんには幻滅しました」って言い、離れていくんですよ。

「あなたのため」が洗脳の始まり

人気セクシー女優が「AV新法」以前の壮絶なトラブルを告白。洗脳、数百万円のギャラ未払い…
天川そら
――その人がギャラを横領していたり、何かにつけて支払わせたりしていることに、疑問は抱きませんでしたか?

天川:もちろん疑問に思っていましたよ。でも、逆らうと私に対するネガキャンが始まるし、GPSも付けられているし、私が大人しくしている方が自分のためだっていう環境が、気づいたら出来上がっていたんです。

――怖いですね。
まさに洗脳です。


天川:しかも、私の良心の呵責につけ込むんです。最初は「あなたのためだから」と心配しているふりをすることから始まって、どんどん支配的になり、囲いが強くなって、行動の制限、睡眠時間の制限をされるんです。でも、本人は本当に私のことを友達だと思ってるんですよ。

――そこから、どうやって逃れたんですか?

天川:GPS、SNSなど連絡先を全部シャットアウトしたんです。SNSは女優としてデビューしていたから、ファンのフォロワー数もかなりあったんですけど削除しました。「もうSNSのアカウントを作り直してもいい。私はあの人から逃げたいんだ!」って覚悟で逃げました。

――その人と事務所は繋がっていたんですか?

天川:それは、その友人が勝手にやっていたんです。

社長がギャラをギャンブルに注ぎ込んでいた

――その人から逃れられたのに、事務所からは未払いがあったんですか?

天川:社長が会社の資金やギャラをギャンブルに使っていたようで、ギャラのことを聞いても「来月渡すよ」って言う状態が続いていたんです。撮影は続いているから、メーカーからギャラは支払われているし、ストックされているはずなんですけど、ギャンブルに使い、かなり負けているって知ったんです。

――豪遊していたり、不動産を買ったりしていたかと思えば、ギャンブルですか。

天川:業界を代表するセクシー女優さんも所属していたんですけど、その方も、かなりの額が支払われていなかったんですよ。


――ギャラがもらえない状態で、天川さんはどうやって生活していたんですか?

天川:貯金をしていたので、1年間ぐらいは貯金を切り崩して生活してました。

――相談する人はいませんでしたか?

天川:相談できない環境を作って、孤立させられていたんです。

――それに未払いの理由がギャンブルで負けていたとなると、回収しようがないですよね。そのことに気が付いて、どうしましたか?

天川:今なら他の事務所に移籍も可能なんですが、7~8年前だと、まだ事務所を移籍する女優が少なくて、簡単には所属していた事務所を辞められなかったんです。

――結局、どれぐらいの額をもらえていなかったんですか?

天川:数百万円です。

――それは大きいですね。最終的にはどうしたんですか?

天川:これ以上、事務所にいてもセクシー女優としての先がないことを痛感して辞めました。

消えたギャラ、消えた説明

――刑事もしくは民事で訴えようとは思いませんでしたか?

天川:民事で争っている女優もいたんですけど、秘密をネットに書き込まれたり、晒されたりしていたみたいです。そういう話をいろいろ踏まえた上で、無難な形にしておこうかなと思ったんです。

――弁護士には相談したんですか?

天川:相談しました。でも、個人事業主契約だったり業務委託契約だったり、いろいろあると思うんですけど、事務所との契約書自体がなかったんです。ずっと「契約書を作ってほしいです」ってお願いしていたんですけど、結局最後まで作ってもらえなかったんです。


――まだ「AV新法」もなかった時代ですからね。まあ、それ以前の問題ですけど。

天川:結局、のらりくらりとやらないといけない部分もあって。これ以上言うと「めんどくさいやつだな」って思われそうだな、とか、「これ以上は相手の気分を害しそうだな」とか、そういう空気を見ながらやっていたんです。

――お金を貸した方が立場が弱くなる心理に似ていますね。

天川:お互いの合意形成がないと契約書って結べないので、どれだけ「自分の立場を守るために契約書が欲しいです」と伝えても、こちらは事務所に生殺与奪の権利を握られている状態なんですよね。ギャラも向こうが管理しているし、権利を主張しすぎると「ちょっと扱いづらい子だな」って見られてしまう。だから、実際には言えることも、できることも限られていて、じゃあ「問題提起しよう」「動こう」と思っても、その頃にはもう事務所がなくなっていたりして、「はいはい」で終わってしまうんです。結局、かなりの人が泣き寝入り状態でした。

――過去のこととはいえ、勇気ある告白ありがとうございました。

※※※※※

今回のインタビューで語られたのは、単なるギャラの未払いというトラブルではなく、管理という名目のもとで、個人の生活や判断が少しずつ制限されていく過程そのものだった。
天川そらさんの証言は、それを自分の特殊な経験として話すものではなく、当時の業界が抱えていた根本的な問題の一部として明確に示しているのだった。


【天川そら】
X:@amakawa_sora_

<取材・文・撮影/神楽坂文人(X:@kagurazakabunji)>

―[天川そら]―

【神楽坂文人】
世界一セクシー女優を取材しているカメラマン、ライター、インタビュアー。元成人誌編集者のため、最後の砦として活躍中。年間イベント取材数300本超え! 年間インタビュー数200本超え! バイクで都内を駆け巡り1日で複数の仕事を受けている。X(旧Twitter):@kagurazakabunji
編集部おすすめ