今回は、細木氏にまつわるお笑いコンビ「X-GUN」の西尾季隆氏(56歳)に話を聞く。X-GUNは2006年、細木氏の番組でコンビ名を「丁半コロコロ」に改名した経緯でおなじみ。当事者である西尾氏は、当時のイメージとは異なる“女帝”の姿を目撃していた。
ボキャブラで脚光を浴びるも、徐々に仕事が…
――まず、X-GUNの大きな転機は、1990年代の人気番組『ボキャブラ天国』(フジテレビ系列)ですよね。当時は最高月収が約200万円だったと。西尾:順番で言えば、その前に『GAHAHAキング 爆笑王決定戦』(テレビ朝日系)で9週勝ち抜きして、バイトを辞めることができて。その後にボキャブラで広く知ってもらえたという感じですね。
――そこから番組が終了し、細木数子さんの番組で改名したのが2006年ですが、仕事量や収入面もかなり厳しくなっていましたか?
西尾:年収2000万円くらいが、ボキャブラが終わって半分になり、その翌年には700万円になりと減ってしまい。さすがに焦りましたね。貯金も1000万円から減る一方で「ホームレスになるかも」と背筋が冷えました。
――額だけ見れば十分にも見えますが、明日が保証されていない職業ですからね。
西尾:ボキャブラに一緒に出ていた、爆笑問題やネプチューン、海砂利水魚(現:くりぃむしちゅ~)は、番組が終わっても売れ続けていましたからね。
なぜ改名に至ったのか
西尾:所属事務所が細木数子さんの番組に関わっていて、「もし、番組中に誰かが改名する流れになったら、X-GUNは改名してもいい?」と、当時のマネージャーに言われて、僕らはOKと即答しました。
――即答は、やはり現状打破への意識ですか?
西尾:細木さんのブームでしたし、何かのきっかけになればいいなとか、仕事が1本でも増えればいいなと。
――そこから、改名まではどんな流れを辿ったんですか?
西尾:テレビ朝日の特番で、細木さんが大勢いる芸人を見渡して「この中にX-GUNっているかい? あんたたち、全然ダメだね」と。「芸人の名前に『X(バツ)』が入ってるなんて、ダメだよ」と叱咤され、そのまま改名することになりました。
――それで、丁半コロコロに。
西尾:いえ、名前をその場で変えるのかと思いきや、細木さんが他局の「『ズバリ言うわよ!』(TBS系列)で決める!」とおっしゃったんですよ。現場のスタッフも「ここでやらんのかい!」となっていたように感じました(笑)。
――X-GUNのお二人も戸惑いはありませんでしたか?
西尾:ありましたが、それより「もうひとつの人気番組に出られる!」という嬉しさの方が大きかったですよ。『ズバリ言うわよ!』はくりぃむしちゅ~が出ていましたし。
「ピンクandグリーン」になるかもしれなかった
――そして「丁半コロコロ」という新しい名前が発表されました。率直にどう思いました?西尾:「いやいやいや(笑)」みたいな感じではありましたね。まず、博打に関する言葉だし、「コロコロって……」となりました。
しかも、裏では当時「細木さんが『ピンクandグリーン』という名前を誰かにつけたがっている」という噂があったんです。楽屋でくりぃむしちゅ~からも「絶対『ピンクandグリーン』になるよ」と言われていました。それも、「嫌やな」とは思っていたんですが、蓋を開けてみると「丁半コロコロ」だったので「なんやそれ!」って(笑)。
――ここも、裏での話と違う名前……。断れる空気はなかったですか?
西尾:そうですね。細木さんは「新コンビ名を断るような奴もダメ」と考えていたみたいです。だからこそ、あらかじめ「改名していいか」と言われていたわけで。
――新しい名前が決まった直後、相方のさがね氏とはどんな話をしましたか?
西尾:半笑いでしたよ(笑)。ただ、番組に出ていたタッキー(滝沢秀明)が丁半コロコロとしての決めポーズを考えて作ってくれたので、これはこれでいいんじゃないかという話もしましたね。
――改名バブルはあった?
西尾:バブルというほどではないですが、いくつかの番組に呼んでもらえて、イベントの仕事も入りました。それに、他番組でも改名をイジってもらうこともありました。
――どんな方にイジられたんですか?
西尾:爆笑問題が印象的ですね。
細木の印象は「肝っ玉かあちゃんみたい」
――ドラマ『地獄に堕ちるわよ』では、細木さんのパワフルな側面が強調されていますが、初対面の印象はいかがでしたか?西尾:楽屋挨拶もなく、スタジオでいきなりお会いしましたが、テレビで見ていたあのままでしたね。ただ、スタジオにいる俳優さんや隣にいるタッキーにはめっちゃニコニコしていて。イケメンには優しかった記憶があります(笑)。
――人を見ている(笑)。楽屋など、裏での印象はどうですか?
西尾:改名後しばらくして、また番組でご一緒することになった際、手土産を持って楽屋に挨拶に行ったんですよ。怖い印象でしたが、ちゃんとこちらを見て「元気にやってんのかい?」と、優しく話しかけてくれました。
――表情も柔らかかったですか?
西尾:はい。特にお土産を渡したらニコッとされて。「なんか、安いもんでも持ってきたんだろ」と悪態をつきながらですが。決して嫌な感じではなくて、肝っ玉かあちゃんみたいな雰囲気でした。
――意外な一面ですね。
西尾:挨拶後に相方のさがねと「めっちゃ優しかったな?」と話したのをよく覚えています。
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時代が変わり、事情も変わった。なにかとうるさい現代の地上波では、彼女のような人物を見かける機会はそうない。それゆえにドラマで描かれた、まだでたらめだった時期の残り香を嗅ぎ、ふと郷愁を覚えた人も少なくないのではないか。
<取材・文/Mr.tsubaking>
【Mr.tsubaking】
Boogie the マッハモータースのドラマーとして、NHK「大!天才てれびくん」の主題歌を担当し、サエキけんぞうや野宮真貴らのバックバンドも務める。またBS朝日「世界の名画」をはじめ、放送作家としても活動し、Webサイト「世界の美術館」での美術コラムやニュースサイト「TABLO」での珍スポット連載を執筆。そのほか、旅行会社などで仏像解説も。
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