こんにちは、シューフィッターの佐藤靖青(旧・こまつ)です。靴の設計、リペア、フィッティングの経験と知識を生かし、革靴からスニーカーまで、知られざる靴のイロハをみなさまにお伝えしていこうと思います。

「安いから、多少の欠点は仕方ない」。ワークマンの靴に、そんなイメージを持っていませんか。

靴設計に10年、シューフィッターとして15年以上携わってきた私から見ると、最近のワークマンは、その段階を抜けつつあります。

今回、初めて招待された展示会で強く感じたのは、靴全体の品質が底上げされていること。滑り止めをつける、インソールを取り外せるようにする。そうした目立たない部分まで、きちんと手を入れてきています。

ただし、どれを選んでも正解というわけではありません。今回は自費で購入したおすすめ2足と、展示会で試着した2足を、気になった点も含めて紹介します。価格はすべて税込みです。

冬の普段履きに期待。「エックスシェルター断熱βアマヨケモック」2900円

ワークマンの2300円スニーカーに靴のプロが「驚いた」ワケ。...の画像はこちら >>
まずおすすめしたいのが「エックスシェルター断熱βアマヨケモック」。雨を弾くカバーがついた、ハンズフリーで履けるモデルです。


見た目はゴツめですが、足を入れると印象が変わります。甲を太いゴムで押さえる構造で、靴ひもを結ぶ必要がありません。玄関でサッと履いて、買い物やゴミ出しに出かける。そんな冬の日常に合いそうです。

カバーには断熱素材「Xシェルターβ」を採用。試した時期はまだ暖かかったため、真冬の保温性はこれから確認しますが、インソールの表面もフリースのような感触でした。

靴底の外周には粘りのあるゴムが使われ、雨の日を意識したつくり。インソールも取り外せるので、手入れしやすい点は好印象です。ただし、雨を弾くことと、完全に水が入らないことは別。長時間の雨用として過信しないでください。

惜しいのはデザイン。黒にはオレンジ系の柄が入り、好みが分かれそうです。
個人的には、すっきりした黒一色も欲しいところ。落ち着いた見た目なら、ベージュのほうが選びやすいと思います。

長距離を本格的に歩くためというより、冬の生活で気軽に履く一足。ご参考までに、普段28.0cmのスニーカーを履く私は、3Lがちょうどよく、LLでは小さく感じました。

2300円でも細部までしっかり。「ステップイン ハイバウンス」

ワークマンの2300円スニーカーに靴のプロが「驚いた」ワケ。秋の新作4足を本音でレビュー
ワークマン「ステップイン ハイバウンス」筆者私物
今回、価格と機能のバランスで特に驚いたのが「ステップイン ハイバウンス」です。

約4cmの厚底に、ワークマンの高反発ソール「バウンステック」を採用。クッションと反発を感じられるうえ、ハンズフリーで足を入れられます。ゴムひもなので、毎回結び直す手間もありません。

注目したいのは、派手な機能よりも細部です。

靴底には滑り止めがつき、カップインソールは取り外し可能。さらに、足の甲に当たる「ベロ」が外側へずれないよう、内側を縫い留めています。
歩くたびにベロが横へ逃げる靴は意外と多いので、これは地味でも大事な工夫です。

以前のワークマンの低価格帯シューズには、滑り止めが少なかったり、インソールが接着されていたりして、「安くても、ここは省いてほしくない」と感じるモデルがありました。この靴は、そうした不満を一つずつ解消しています。

通気性のよいメッシュ素材なので雨には弱く、オールブラックがない点も惜しいところ。それでも、普段履きに欲しい機能が2300円でそろうのは見事です。
サイズ感は大きめで、普段28.0cmの私は27.0cmでジャストでした。いつものサイズをそのまま選ばず、試着をおすすめします。

履き心地は好印象。ただ、見た目が惜しい「ハイバウンスレイン」3300円

ワークマンの2300円スニーカーに靴のプロが「驚いた」ワケ。秋の新作4足を本音でレビュー
ワークマン「ハイバウンスレイン」写真は公式HPより
ここからは、展示会での試着による感想です。長時間歩いた評価とは分けてお読みください。

「防水シューズ ハイバウンスレイン」は3300円。ロングセラーのハイバウンスレインをアップデートしたモデルです。


足を入れた印象は良好でした。厚底でも内外にぐらつく感じが少なく、靴底のグリップにも配慮されています。反射材もついており、雨の日の歩行を考えた設計だと感じました。私は普段どおりの28.0cmで合いました。

一方、個人的に引っかかったのはデザイン。色や模様の主張が強く、少し子供っぽく見えてしまったのです。もっと落ち着いた配色なら、街でも使いやすいと思います。

ワークマンの2300円スニーカーに靴のプロが「驚いた」ワケ。秋の新作4足を本音でレビュー
実店舗の風景。筆者撮影
ただ、ワークマンの売り場はセルフで商品を選ぶ方式。まず目に留まり、手に取ってもらうために、目立つ色柄が必要なのかもしれません。

機能には好感を持てるだけに、普段の服に合わせやすい選択肢も欲しい。そう感じた一足でした。

品薄でも探し回るほどでは?「ゲルミア衝撃分散シューズ」3900円

ワークマンの2300円スニーカーに靴のプロが「驚いた」ワケ。秋の新作4足を本音でレビュー
ワークマン「ゲルミア衝撃分散シューズ」写真は公式HPより
最後は「ゲルミア衝撃分散シューズ」。3900円のモデルですが、私にはあまり合いませんでした。


人気があり、近くの店舗では見つからなかったため、展示会で初めて試着しました。しかし、履いてみると想像よりもずっしりした感触。正確な重量を量ったわけではありませんが、軽快に歩きたい私には、その重さが気になりました。

「衝撃分散」という名前だけで、歩きやすさまで判断することはできません。クッションがあることと、自分の足で快適に歩けることは、必ずしも同じではないからです。

もちろん、合う方もいるでしょう。ただ、品薄だからと何店舗も探し回る前に、ほかのモデルも履き比べてほしいと思います。

もう「安いから買う」で済まされないブランドへ

今回感じた進化は、飛び抜けた一足が増えたこと以上に、「基本的なつくりに不満のある靴」が減ってきたことです。

滑り止め、取り外せるインソール、ベロのずれを防ぐ縫製。目立たない部分を整えながら、2000~3000円台に収めるのは簡単ではありません。

だからこそ、デザインやサイズ展開にも期待したくなります。今回の「ステップイン ハイバウンス」のように、つくりを見て、履いて納得できる靴が2300円で買える。
そこに、今のワークマンの進化を感じました。

<取材・文/佐藤靖青>

【シューフィッター佐藤靖青】
イギリスのノーサンプトンで靴を学び、20代で靴の設計、30代からリペアの世界へ。現在「全国どこでもシューフィッター」として活動中。YouTube『足と靴のスペシャリスト』。靴のブログを毎日書いてます『シューフィッター佐藤靖青(旧・こまつ)@毎日靴ブログ』。著書『予約の取れないシューフィッターが教える正しい靴の選びかた』
編集部おすすめ