◆米大リーグ ドジャース2―6エンゼルス(16日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 ドジャース・大谷翔平投手(30)が16日(日本時間17日)、本拠のエンゼルス戦で今季初の3試合連続本塁打となる16号ソロを放ち、本塁打ランキングでMLB単独トップに立った。5月はまだ13試合も残して自己最多の月間9発とした。

例年、6月にアーチを量産するが、早くもエンジン全開で昨季の自己最多54発を上回る57発ペース。3年連続本塁打王どころか、60発超えさえあり得る勢いだ。

 助走期間でも関係ない。大谷の勢いが早くも止まらない。3点を追う8回1死。右腕・ゼファジャンの低めカットボールをすくい上げるように振り抜くと、飛距離433フィート(約132メートル)の大飛球は中堅フェンスを越え、防球ネットの上に飛び込んだ。メジャー単独トップに立つ16号ソロ。球団ワースト5併殺で完敗した試合で唯一スタジアムを沸かせた。

 自己最長に並び、今季初で通算9度目の3戦連発。3戦4発でジャッジ(ヤンキース)、シュワバー(フィリーズ)を抜いた。5月はまだ13戦を残すが、早くも23年の8発を超える自己最多9本目。ロバーツ監督が「本当にボールがよく見えている。

我々が望んだ以上のことをやってくれている」と感心すれば、エ軍・ワシントン監督も「大谷は別世界の存在である。彼はただ別の世界の人間なのだ」と達観するしかなかった。

 「50―50」で2年連続キングに輝いた昨季は、5月終了時で14発。例年、6月に量産することを考えれば、今季は“超ハイペース”で本塁打を積み重ねていると言える。23年には月間自己最多15本、昨季も月別最多タイの12本。過去7年間で4度が、6月に最も多くのアーチをかけた。昨季、大谷は「慣れてくるのもそうですし、いいところ、悪いところ、いろいろ改善しながらちょうどそういう波が来やすい」と“6月無双”の要因を分析していた。前年までと違う攻め方をされ、気温も低い5月までは、徐々に調子を上げる期間。現時点で昨季の54発を上回る57発ペースだが、最高潮の6月が待っていることを考えると、60本以上も期待できる勢いだ。

 移籍2年目。打席以外ではマイペースを貫く。試合前のクラブハウス。

椅子に座ってリラックスしていたが、急に立ち上がりダッシュで部屋を飛び出した。午後3時34分。野手ミーティング開始1分前だった。グラウンドでは球場警備犬に近寄ってナデナデ。キャッチボール後にボールを犬にプレゼントすると、口でキャッチしてうれしそうだった。愛犬家の一面をのぞかせた後は、古巣エ軍の同僚にあいさつ。自然体そのものだ。

 自身初の4試合連続本塁打の期待が懸かる17日(日本時間18日)は、昨年ロサンゼルス市が制定した「大谷翔平の日」。通算212勝左腕・カーショーが260日ぶりに復帰する一戦でもある。15日には「1打席1打席、自分のいい打席を送れればいい」と話していた大谷。末恐ろしい未来が待っていそうだ。(安藤 宏太)

 ◆大谷の主な記録

 ▽3戦連発 昨年6月20~22日以来9度目。

3日連発は同期間以来7度目。3戦連発&3戦4発は24年5月4~6日以来5度目。4戦連発なら自身初。

 ▽5月9発 23年の8本を上回り、自己最多を更新。月間最多は23年6月の15本。通算の月間最多は6月の55本で、5月の43本は2番目。月間MVPは6、7月が2度ずつ、9月が1度で、5月はない。

 ▽特大弾 433フィート(約132メートル)は4月16日の6号の448フィート(約137メートル)に次ぐ今季2番目。打球速度114.9マイル(約184.9キロ)も、本塁打の中では5月5日の9号の117.9マイル(約189.7キロ)に次ぐ今季2番目。

◆ 一足先に勝手に二刀流

 投手復帰へ調整を続ける大谷だが、一足先に勝手に“二刀流復帰”させた男がいる。

 36歳内野手のロハスは、13日アスレチックス戦で8点差の9回に登板した際に大谷のグラブを使用=写真、共同=。15日の同カードでは、捕手が登板した8回に三振した大谷からバットを“奪って”打席に立ち、安打を放った。

 グラブを借りた理由を、ロハスは「彼がマウンドに立つのはもうすぐ。だからグラブを慣らしておく必要があった。彼が登板する時には準備万端なようにね。本塁打を2発打たれたけど、俺が打たれたから翔平が登板したらキレイに抑えるさ」。バットについては「前にも野手と対戦した時に借りて安打。今回も聞いたら『使っていいよ』と言ってくれた」と明かした。

 大谷は野手相手に三振したが、ロハスは安打。「『野手相手にはこうやって打つんだよ、翔平!』って感じだね」。大谷を中心とした雰囲気の良さが垣間見えた。(村山 みち)

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