◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 データ×人による無限の可能性を実感する機会になった。4月下旬。

「ネクストベース」社が開設した、千葉県市川市にある「NEXTBASE ATHLETES LAB(ネクストベース・アスリートラボ)」を訪問した。同施設では最先端の機器を用いて、スポーツ科学的な視点から動作などを解析。その上で、専門のアナリストたちが選手に合わせたパフォーマンス向上策を提案している。プロアマ問わず多数の選手が足を運ぶ。

 天井などには1秒に1000コマで撮影可能な14台の高性能カメラ。マウンド下には足が地面に加えた力の大きさと方向が計測できるセンサーが内蔵された「フォースプレート」が置かれる。取材に訪れた時は、大学野球の選手が頭から足の先まで多数のマーカーを装着しながらバットを振って計測中。まさに研究所のようで、最新機器が計測した情報は詳細だった。

 しかし、収集するだけではパフォーマンスの大幅アップにはつながらないのではないかという疑問があった。そこで必要不可欠なのがデータと選手をつなぐさまざまな担当者の存在なのだという。

 ネクストベース代表取締役の中尾信一さんは料理に例えて説明する。「データがあるだけで足りない。

料理でいうとすごくいい素材、材料があっても、料理人がいないとだめなんです。料理人の良しあしが大切になるんです」。バイオメカニストやアナリスト、パフォーマンスコーチらがデータを解析、意見交換した上で、改善方法を分かりやすく提示することで最大限生かすことができる。

 詳細なデータと、集まった情報を読み解き伝える“人”とのシナジーが球界に変革をもたらしている。(巨人担当・宮内 孝太)

 ◆宮内 孝太(みやうち・こうた) 22年入社。23年から巨人担当。小学4年から高校まで野球を続け、大学ではラクロス部。

編集部おすすめ