歌手・市川由紀乃が19日、埼玉・サンシティ越谷市民ホールで卵巣がんの闘病から復帰後初の単独コンサートを開催した。
闘病中の記録映像が流され、客席が静まりかえる中、市川がマイクを握った。
しんみりとした雰囲気の中、歌い終わった市川は目に涙をためつつも「ただいま!」と頭を下げた。「スタッフ、ファン、先輩方の励ましのおかげでここまで元気になって帰ってこられました。自分の故郷から再出発できる喜びをかみしめています。歌手人生の新たな一歩です」と感謝を伝えると、客席から「待ってたよ! お帰り!」と歓喜の声が飛び交った。
23年ごろから生理不順、不正出血や腰痛、鼻血などの症状が表れ始め、先輩歌手の由紀さおりに相談したところ「検査を受けなさい」と諭された。昨年6月上旬に受けた検査で「卵巣腫瘍の疑い」と診断され、医師からはすぐに入院することを勧められた。
昨年7月には、悪性腫瘍かを診断するための開腹手術を受けた。その場で簡易検査され、悪性ならば卵巣と子宮、リンパ節、腹膜をその場で切除することになると医師に宣告された。切除後、さらなる精密検査の結果、「卵巣がんステージ1」も判明。8月から合計6回の抗がん剤治療も行った。
コンサートにはサプライズで、闘病中も市川を激励し続けた由紀が駆けつけた。まさかの”恩師”登場に市川は涙。由紀は「後ろの席であなたの第一声を聴いて、もう大丈夫だなと。すばらしいスタートが切れましたね。いい声が出てるじゃない。つらいことも泣き言もあったと思うけど、おかえり」と熱い抱擁を交わした。市川は「ありがとうございます。これからもご指導お願いします。感謝の思い出いっぱいです」と号泣した。
公演では、1600人を前に20日発売の新曲「朧」など17曲を披露した。拍手が鳴りやまぬ会場に市川は「普通の毎日は奇跡だったとつくづく感じました。