◆米大リーグ レッドソックス3―1メッツ(19日、米マサチューセッツ州ボストン=フェンウェイパーク)

 メッツの千賀滉大投手は19日(日本時間20日)、敵地でのレッドソックス戦に先発。6回を投げ、5安打3失点で今季4度目のクオリティースタート(QS=6回以上、自責3以内)を達成も、打線の援護にも恵まれず、今季3敗目を喫した。

 23年8月から16試合連続で自責点2以下としていた千賀は、初回にサイン伝達機器「ピッチコム」不装着の違反でボールカウントを付与されるなどリズムを崩して2失点。2回にも1点を献上し、2023年8月13日(ブレーブス)以来17試合ぶりに1試合3失点を記録したが、3回以降は被安打2と修正。2試合連続3桁球数となる100球を投げ、ストライク率は6割。5奪三振3四球1暴投。規定投球回数に達し、防御率1・43でリーグトップに躍り出た。

 球数100球目のスプリットでラファエラのバットに空を切らせた。苦難の立ち上がりから修正した粘投。打線の援護なく今季3敗目を喫したが、逆境に立ち向かい、今季4度目のクオリティースタートを達成した。

 「風だったり、色んな環境の中でうまく立ち上がれなくて。何とか試合をつくりたいと思ってマウンドにいた。ストライクが入らない状況で、バッターが楽にフォークを見逃したり、ボールからボールになる球も多かったです。(状態は)良くなかったけど、試合を壊すことなくいけたのは、ポジティブの要素かなと思います」

 5回終了時で球数は93球。

ベンチに戻るとメンドサ監督に「ワンモア!」と、続投を志願。「この感覚だったらいけるなと思いました。なかなか(長い)イニングを投げれてなかったし、1アウトでも多く取りたいと思っていた」。気迫の6回3失点。2023年8月19日(カージナルズ)以降、16試合連続自責点2点以下としていた球団記録は途切れたが、規定投球回数にも再到達。防御率1・43で、ナ・リーグトップに躍り出た。味方失策も絡んで2死満塁とされた4回は「これ以上点をやると決まってしまう」とギアを上げ、ブレグマンを直球で三ゴロに。直球の最速は97マイル(156キロ)をマーク。奪った5つの空振り三振は、全てフォークで決めた。ルーキー時代以来2年ぶりの球宴選出も十分、射程距離だ。

 「普通に凡ミスなんで」と猛反省したのは、初回のピッチコム不装着の違反。初球の球種は打ち合わせ済みだったことが、裏目に出た。

先頭のデュランに初球、直球を右翼線二塁打された後、不装着に気がついた。ペナルティーで続く2番打者に対し1ボールが付与され、そのままストレートの四球。暴投も重なり、無死二、三塁から内野ゴロで先制点を許し、ストーリーの内野安打で2点目を献上した。

 この日は風速7メートルの強風で「直球が浮き、フォークが落ちすぎる」(千賀)という悪条件。頼りになったのは、経験だ。ホームからマウンドに向かって吹き上げる風向きでよみがえったのは、ZOZOマリンの記憶。「ロッテの球場に近いな、と。ショートに打った感じが、キャッチャーの後ろに落ちるみたいな、あの感じ。なんか久しぶりだと思いました」。3回以降は無失点に修正。「自分の中でどうやったら勝負できるかっていうのを探した中で、何とかできたと思う」と振り返った。

 前回、当地で登板した2023年7月21日は、吉田正尚外野手を2打席無安打とし、日本人対決を制したものの、4回途中の大雨で試合が中断、リードした展開でサスペンデッドになった。

フェンウェイ・パークで再び厳しい自然環境にさらされ、打線もわずか1得点と援護にも恵まれなかった。

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