20日にアルツハイマー型認知症であることを公表した橋幸夫が21日、神奈川・小田原三の丸ホールで所属事務所「夢グループ」の20周年コンサートに出演した。

 コンサート終盤、後輩グループ「yH2」から呼び込まれ登場した橋はゆっくりとした足取りで登場し「こんにちは。

私の名前を知ってます?橋幸夫です」とあいさつ。「潮来笠」を1コーラス歌うと、もう一度「私の名前を知ってます?橋幸子です」と笑わせた。

 ステージでは歌詞も忘れることなく、歌声もしっかり。「僕もうれしいです」と笑みをみせた。MCで登場した石田氏から「あさって僕と何をするか覚えていますか?」と尋ねられ、「飲みにいくんだっけ」。相撲観戦の約束をしていたことを石田氏に確認されると「年に何回か国技館に呼ばれていまして」と思い出したように語った。

 相撲についてのトークに夢中になっていると、思わずマイクを外してしまうハプニングも。石田氏からマイクを近づけるように促されると「マイク持ったことないもんですから」とジョークで返した。2曲目の「霧氷」、韓国人歌手ZEROとのデュエットソング「絆」も豊かな声量を響かせた。橋の美声に、石田氏も「感動して。すごい」と大感激。橋は「じゃあちょっと、トイレに行ってきます」とユーモアたっぷりに降壇した。

 20日に会見した石田氏によると、昨年の夏頃にスタッフから「橋さんの言葉がおかしい」「何度も同じことを言う」と伝えられたという。石田氏もステージでのMCや自身との会話に異変を感じ、家族へ連絡。そこで、2022年にアルツハイマー型認知症と診断されていたことが判明した。23年に右頭頂葉脳梗塞(こうそく)を発症していることも明らかにしたが、認知症との関係は不明だとした。

 言動に異変が認められた昨夏時点では「歌はしっかり歌えた」というが、今年1月頃からは「歌も忘れ始めた」と説明。「橋さんがショックだったのが、同じ言葉を繰り返すことでお客さんが笑うことだった。『真面目にしゃべってるのに何がおかしいんだ』と」。それ以降は石田氏もステージに立ち、MCをサポートしているという。

 15日に大阪で開催した「夢グループ20周年記念コンサート」では、予定していた3曲を歌えず、橋が「社長、みんなに迷惑かけているならしばらく休む。俺、頭の中がさっぱり分からなくなっちゃうんだ」と吐露。しかし、医師からの助言も踏まえた上で石田氏が「何もしない生活にすればあっという間にガタガタと(症状が進行)するんじゃないかと。それならば皆様に知ってもらって、こういう状況でも頑張っていくとした方が良い」と、病気を公表して活動を続けることに踏み切った。

 ◆橋 幸夫(はし・ゆきお)1943年5月3日、東京・荒川区生まれ。82歳。60年、「潮来笠」でデビュー。同年の日本レコード大賞新人賞、NHK紅白歌合戦初出場(通算19回出場)。舟木一夫、西郷輝彦さんと共に「御三家」と呼ばれ人気を博す。23年、歌手活動を一時引退。24年、引退を撤回して復帰。血液型A。

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