◆高校野球◇春季全道大会 第3日 ▽1回戦 北海道栄0-2士別翔雲(28日・札幌円山)
4年ぶり出場の士別翔雲は1回戦で北海道栄を2-0で下し、7年ぶりの白星。エース右腕・大橋広翔(3年)が公式戦9回初完投を、地区予選2試合(ともに7回コールド)に続く3戦連続完封で飾った。
士別翔雲の“ミスターゼロ”が最後までホームベースを踏ませなかった。9回2死一塁。最後の打者を遊ゴロに打ち取った大橋広は、体全体を使って喜びを爆発させた。名寄地区予選の2試合(ともに7回コールド)に続く、3試合連続の完封勝利に「ずっと苦しい試合ではあったので、そこで耐えられたという喜びがガッツポーズで全面に出た」と右拳を握った。
春は調子が上がらず、この日も「球がいかない感じがあった」。それでも力任せにならず、丁寧に低めをつく投球で北海道栄打線を封じた。「ギアを上げるタイミングが多かったので、疲れはあった」と言いながらも、オフに取り組んできた走り込みや食トレの成果を発揮し、9回にこの日最速タイの140キロをマーク。昨秋までのように終盤に足をつることもなく、119球を投げ抜いた。
バックの好守備にも再三助けられた。自身のセーフティースクイズで1点を先制した直後の8回。無死一、三塁のピンチを迎えたが、女房役の大塚叶夢捕手(3年)がけん制で三塁走者を刺した。その後の2死二塁から右前打を許したが、牧寿也右翼手(3年)が本塁への好返球で同点の危機を救い「野手も『守ってあげるから』と言ってくれたので安心して投げられた。
南北海道の強豪を撃破し、次戦は同じ北北海道の白樺学園と激突する。学校としても初の4強入りが懸かる29日の準々決勝は連戦となるが「投げるつもりでいます」と断言した。名寄地区予選から23イニング連続無失点中の右腕が、士別翔雲の歴史を塗り替える。(島山 知房)