◆JERA セ・リーグ 阪神1―5DeNA(29日・甲子園)

 ベンチにいる全員が心から待ち望んでいた1点だった。1点を追いかける4回1死、DeNA・牧秀悟内野手(27)が阪神先発・デュプランティエの2球目、149キロ直球をバックスクリーン左にぶち込んだ。

7試合ぶりの8号ソロはただの同点弾じゃない。実に4試合、37イニングぶりの得点になった。

 「全員が早く点がほしい中で、いい形で一本打てた。チームを勇気づけられる一打になった」。右手を突き上げダイヤモンドを回り、おなじみのデスターシャ・ポーズを決めた主将が暗いムードを打破すると打線は7、9回に計4点を加点。6試合ぶりの5得点で、4試合ぶりの白星をつかんだ。

 空回りが止まらなかった。23日の広島戦(マツダ)6回からゼロ行進。27日には8回12K0封のバウアーを10残塁で援護できず、28日は11安打を放ちながら13残塁の拙攻で本塁を踏めなかった。暗いムードを打ち破る主将の一撃に連敗中もあえて笑顔を絶やさなかった三浦監督は「牧の一発で追いついた。いいきっかけになったのかなと思う」と称賛した。

 23年に5本塁打をマークした得意の甲子園で牧がチームをよみがえらせた。

25日までの広島遠征では1月の鹿児島・鹿屋自主トレに同行し、4年以上の付き合いになる浜川トレーナーが訪れ治療を受けるなど体のケアも万全だ。12試合連続安打と調子も悪くない。「これを機にまたいい形でチャンスで打てるように。いいきっかけになるのかな」。すべて完封負けだった連敗は3でストップ。チームを貯金0危機から救った主将は頼もしかった。(太田 和樹)

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