巨人・桑田真澄2軍監督(57)がファームの現状を伝えるコラム「桑田の眼」。第3回は、1軍昇格へ向けて2軍調整中の田中将や坂本らベテランが2軍の若手選手に与えるメリットを解説。

また、今月中旬に再昇格した中山、門脇と2軍調整中に確認した課題について明かした。

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 開幕から2か月がたちました。今年も1、2軍間の選手の入れ替えが頻繁に行われています。そうした中でも育成と勝利の両立を目指しながら、コーチ陣が上手にやりくりをしてくれていることに感謝しています。

 2軍に求められるミッションのうち、「調整」の面では田中将、長野、坂本、丸、小林らベテランが、それぞれの課題と向き合ってきました。本来は1軍で活躍しなければならない選手ですから、1軍にとってはマイナスです。ですが、2軍選手にとっては貴重な機会になっています。

 坂本が育成の宇都宮に守備を、長野と丸が新人の石塚に打撃を、といった形で経験に基づく助言やコツを伝え、若手投手が田中将に調整法や投球の考え方について質問する光景も見られました。24日に昇格した小林は、後輩捕手に得点直後のイニングの入り方やキャッチングについて、時には厳しく指導してくれました。

 我々コーチ陣が伝えることと、現代野球の難しさを知る現役選手の助言には、表現の仕方や微妙な感覚の差があり、当然受け取る側の心境にも違いが生まれます。若手がベテランのそばでプレーをしながら、プロとして必要なものを学んでいく過程は非常に大きな財産になると感じています。

 若手では、中山と門脇が2軍調整を経て再昇格しました。

中山は状況に応じた打撃をテーマに掲げ、17日の中日戦(東京D)ではコンパクトな打撃で決勝打を放ちました。チャンスに1本出せる技術と精神力を維持して、1軍で生き残る道を切り開いてほしいです。

 門脇はプロ初の2軍降格でしたが、プロ野球はずっと右肩上がりにいく世界ではありません。新たな気付きを得て、さらに成長するための良い機会と捉えるよう話しました。打撃では、チームに求められている役目と自分の理想の打撃にギャップがあります。場面に応じてチームに貢献できる打撃を考えて確実に実践できるよう、取り組んだ課題を結果につなげてもらいたいです。

 前回のコラムでは僕個人の考えとして、育成の比重を増やしたいと書きました。今季は戸田、笹原が支配下昇格し、現状ではティマやフルプ、鈴木大、先日2軍初昇格した三塚にもチャンスがあります。将来1軍の主力を担うには、2軍で別格の成績を残す必要があります。大いなる飛躍を果たしてもらうためにも、時間、情熱、愛情を込めて、ともに前進していきたいです。(巨人2軍監督)

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