3月にウエスタン・リーグのくふうハヤテに派遣され、期間を約1か月短縮して巨人に復帰した山田龍聖投手(24)がこのほど、しずおか報知のインタビューに応じた。21年ドラフト2位で巨人入団も今季は育成契約で再出発。

先発ローテを担い、結果を残したハヤテでの約2か月半を振り返った。

(取材・構成=伊藤 明日香)

 山田がハヤテでの武者修行を終えた。当初の予定は3月11日から6月30日まで。しかし、巨人から必要な戦力と判断され、前倒しの今月28日で派遣終了となった。

 「元々の目標は支配下登録ではなく、1軍で投げること。ハヤテでやってきたことを出して活躍するのが、ハヤテへの恩返しにもなると思っています」

 9試合に登板して2勝2敗。防御率1・79はリーグ2位(29日時点)。好成績を残して静岡を離れることになり、28日には約2か月半ともに戦ったチームメートに別れを告げた。

 「頑張れとか、いろんな言葉をもらいました。食事に行った(張)賢真なんか、さみしかったのかしばらく付いてきました(笑)」

 JR東日本から21年ドラフト2位で巨人入りも1軍登板はなく、プロ4年目は育成契約となった。

 「ハヤテに来ることは、自分にとってチャンスでしかないという気持ちでした」

  昨季、2軍で登板した29試合はすべて中継ぎ。ハヤテでは9試合のうち、8試合で先発を任された。

 「先発になってから相手打者の映像を見るようになりました。相手の特徴から自分のボールに対してどう反応するかをイメージしていました。結果にもつながったので継続します」

 昨季の奪三振率10・54と比べて、今季は7・15と減少。派遣先での意識の変化が投球に現れた。

 「(前巨人の)笠島だったり、ハヤテにはゴロピッチャーが多い。走者が出てもゲッツーが取れる。僕もそういう投球スタイルが欲しいと思っていました」

 巨人と、ファームリーグだけに参加する球団では環境も異なり、登板しない日はボールボーイを務めた。違った視点が投球術の勉強になり、積極的にチームメートから情報を得た。

 「(DeNA2軍などでコーチ経験のある)藤岡(好明)さんから右足の使い方を教えてもらいました。平均球速がチームに来た時より3キロアップ。リリーフの時に最低ラインとした144、5キロまで伸びました」

 派遣期間で一番の思い出に挙げたのが4月16日、巨人との交流戦(3〇2)で挙げた今季初勝利だった。

 「初勝利とか気にするタイプではないのですが、ウィニングボールは家に置いています。

巨人に入ってから持っているボールだと、他は23年に地元・富山開催だったフレッシュオールスターのだけだと思います」

 7月末が期限の支配下登録を勝ち取り、成長した姿を1軍選手として東京ドームで披露する。

 ◆山田 龍聖(やまだ・りゅうせい)2000年9月7日、富山県生まれ。24歳。高岡商では2年春夏、3年夏の甲子園に出場。3年夏は16強入りし、高校日本代表にも選ばれた。JR東日本を経て21年ドラフト2位で巨人入団。昨季は2軍で29登板し、2勝2敗、防御率1・65。183センチ、82キロ。左投左打。

  ◆NPB球団からの選手派遣 日本野球機構(NPB)が2012年に導入。対象はNPB入団2年目以降の育成選手で、独立リーグなどの球団に派遣できる。NPB球団が一度に派遣できるのは最大4人で、受け入れ側は1球団5人まで可能。

ハヤテには昨季、同じく巨人から木下幹也投手が派遣されていた。

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