浜松湖北は創部11年目で初めて夏のシード権を獲得した。先頭に立つのは、強いリーダーシップを発揮してナインを引っ張る主将の田口翔稀(3年)だ。
ダイナミックな変則フォームが光る左腕エースでもある。「生まれつき」という体の柔らかさを生かし、肩甲骨を広げた大きなテイクバックから速球を投げ込む。昨夏の甲子園に出場した掛川西の高橋郁真投手(近大1年)に似ており、タイミングが取りづらく「バッターも打ちにくいと思います」と吉川勇海監督(28)は信頼を寄せる。
春は不完全燃焼だった。夏のシードが懸かった今春の県大会2回戦(対藤枝東)で先発も、6回の打席で内野ゴロを放って一塁へ走った際に、右ふくらはぎが肉離れを起こした。続投できず後輩にマウンドを譲ってベンチへ。試合には勝ったものの「悔しかったです」
翌週の3回戦(対桐陽)は患部をテーピングで固めて先発したが、1―4で敗れた。体力不足を痛感し、足が完治した現在は徹底的に走り込んでいる。そんなエースのひたむきな姿に、「ピッチング内容も成長しています。夏の大会までの2か月で、もっと伸びますよ」と監督は目を細める。
夏はオール完投を目指す。「全部1人で投げ切ります。
◆田口 翔稀(たぐち・しょうき)2008年1月22日、浜松市生まれ。17歳。小2から二俣少年野球クラブで野球を始めた。172センチ、66キロ。左投左打。血液型AB。家族は両親と兄、妹。
〇…馬場大聖内野手(3年)が代打の一振りに懸ける。入学時は106キロだった体重が、毎日の猛練習と「食事量を少し控えた」ことで87キロに。腰のキレもよくなり、今春の公式戦は計3打数2安打と「絶好調です!」。