◆パ・リーグ オリックス3×―2西武(31日・ほっともっとフィールド神戸)

 オリックスが今季5度目のサヨナラ勝ちで「神戸シリーズ2025~がんばろうKOBE30th~」の初戦を制した。1995年の阪神・淡路大震災から30年を迎え、ブルーウェーブ時代のユニホームを着用。

2―2の同点で迎えた延長11回2死から、野口智哉内野手(25)が左翼席にプロ初のサヨナラアーチを放って試合を決めた。チームは5月を10勝10敗1分けの5割で終え、交流戦を2位で迎えることも決まった。

 走るスピードを緩め、野口が確信した。「声援で入ったのかな?と思った」。今季5度目となるサヨナラ勝ち。延長11回2死の一撃だ。開幕から15試合連続で無失点だった5番手・山田を沈め、プロ4年目で初の劇打。9番打者が今季1号で決めた。

 9回2死二塁のチャンスでは空振り三振。左翼席ギリギリに放り込み「何とか取り返したという感じです…」と息をついた。野手は交代なしの9人で攻撃。キシリトールガム2粒を集中力向上の必須アイテムとする岸田監督も「すごいゲームだった。

最後はガム、のみ込んでしまいました。本当に」と珍しく感情をあらわにした。

 同じ「ともや」の森を追いかけ、昨年から自主トレに同行している。左打者でフルスイングを身上とするスタイルも一緒。ある時には、厳しく言われた。「小さくなるのはいつでもできるから。大きなところでどれだけ捉えられるか。頑張れ!」。まだ師匠に技術も経験も及ばず、確率を上げるために当てにいこうとしていた姿を見抜いての指摘。気づかせてくれた原点で、価値ある勝利を運んだ。

 1学年下の太田と大の仲良し。サッカーゲームのオンライン対戦では、本気の勝負に発展するほどだ。

負傷離脱している正二塁手の穴を埋め、5月は10勝10敗1分けの5割。交流戦前の2位も確定させ「いろんなところを守れるのが強みでもある。何とか準備をして頑張っています」と戦力になれる喜びを実感した。

 この日は神戸シリーズ初戦で、ブルーウェーブのユニホームを着用した。野口自身も関大時代にプレーし「懐かしいし、すごくなじみのある球場」と言ったほっと神戸にも恩返し。全員が「がんばろう神戸」を思い出す夜に、前途有望な背番号9ががんばった。(長田 亨)

 ◆野口 智哉(のぐち・ともや)1999年9月20日、奈良・橿原市生まれ。25歳。真菅小6年時にオリックスジュニアに選出。鳴門渦潮高で3年夏に甲子園出場。関大で1年春からリーグ戦出場。4年秋に最優秀選手とベストナインを獲得し、史上31人目の通算100安打達成。

21年ドラフト2位でオリックス入団。181センチ、95キロ。右投左打。年俸2000万円。

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