◆東京六大学野球春季リーグ戦最終週第2日▽早大6―5慶大(1日・神宮)
3連覇を狙う早大が慶大に連勝し、9勝4敗の勝ち点4とした。1点リードの9回途中、前日(5月31日)先発した今秋ドラフト候補のエース右腕・伊藤樹(4年)が救援し、逃げ切った。
一球入魂―。伊藤樹の集中力は最高潮に達した。リードは1点。9回2死満塁のピンチ。左の好打者・横地広大へ全球スプリットで勝負した。カウント2―2からの5球目、力のない飛球が一塁手のグラブに収まる。試合終了だ。2万9000人の歓声とため息をBGMに、笑顔で整列に加わった。
「絶対にエースが抑えないといけない場面。何とか抑えられて良かった」
前日の1回戦は8回2失点で勝利投手に。
これも運命か。天皇杯の行方は2季連続で早明による優勝決定戦に委ねられた。伊藤樹は昨秋の優勝決定戦で宗山(現楽天)を無安打に封じるなど、3安打完封。だが、慢心は一切ない。「そんなにうまくはいかない。何とか勝てるようにゲームをつくって、試合を終わらせるのが仕事」と意気込んだ。
全ては明大2回戦、リーグ史上初のサヨナラ達成となるノーヒットノーランから始まった。
「勝てるように頑張りたい」とエース。一球一球に魂を込め、紫紺の軍団に立ち向かう。(加藤 弘士)