◆東京六大学野球春季リーグ戦 新人戦▽慶大7x-6早大(6日・神宮)
慶大がサヨナラで早大を下し、4季連続のVに王手をかけた。6-6で迎えた9回2死二塁、途中出場の一宮知樹外野手(1年=八千代松陰)が右前に劇打を放ち、終止符を打った。
手荒い祝福がうれしかった。初夏の強い日射しの下、ヒーローの18歳は最高の笑顔を見せた。同点の9回2死二塁、一宮は外角のストレートを逆方向のライト前に運んだ。二塁走者が激走し、本塁に突入する。サヨナラだ。“兄貴分”は早慶戦に惜しくも連敗。そのリベンジを見事に成し遂げた。
「先輩方がみんな声をかけてくださった。『何も考えなくていいよ』と。楽しみながら打席に立てたので、それがいい結果につながりました」。入学式から約2か月。
千葉市出身。佐倉シニア時代は2つ上の先輩にあたる吉野太陽、吉開鉄朗(ともに慶大3年)に憧れ、慶応高への進学を志したが、惜しくも夢は叶わず。八千代松陰に進んだ。部活動に奮闘しながらも予備校に通い、慶大合格への準備を怠らなかった。引退後は「そんなに量はやっていなくて、1日9時間から10時間ぐらい」と受験勉強に没頭。一般入試で経済学部に合格した。
一般入試組の1年時は体力的なハンデがあるのもやむなしだが、「全体練習だけじゃ足りないので、夜とか空き時間に室内練習場で練習し、体力をつけるようにしていました」と猛練習でカバー。同級生の清原勝児(1年=慶応)も「めっちゃ練習するんですよ。見習わないと」と称賛した。
この新人戦のメンバーは、2023年夏に107年ぶりの全国制覇の原動力となった慶応高のV戦士が主体。一宮も「雰囲気がいいチーム。
佐倉シニアでは巨人のドラフト1位ルーキー・石塚裕惺内野手とチームメート。1位指名された際には「おめでとう」と伝えた。同じ千葉県民の英雄、巨人・長嶋茂雄終身名誉監督=報知新聞社客員=が天国に旅立ち、「中学の頃は長嶋茂雄記念球場で練習していました。千葉の人間としては、感じるものがあります」と敬意を口にした。新人戦Vまでマジック1。若き血を燃やし、全力で奪いに行く。(加藤 弘士)