御殿場西に入学して、主将の名波瑛太遊撃手(3年)の野球人生は大きく変化した。2007年に常葉菊川(現・常葉大菊川)をセンバツ優勝に導き、昨年1月に急逝した前監督・森下知幸さん(享年62)に打者としての能力を見いだされ、進学を機に投手から内野手へと本格的に転向した。

 森下さんといえば「フルスイング野球」。「フルスイングといっても、ただ打撃がいいチームかと思っていた」という入学前の印象は、すぐに覆された。「思っていた以上にすごく頭を使う野球でした」。守備も重視し、外野手との連係や、相手走者の位置を見て中継に入る動きなど、細部まで徹底されていた。

 大須賀中では軟式野球部に所属していたため、進学当初は硬式でのプレーに苦労したが、守備や打撃で思いついた点をノートにまとめた。その積み重ねが実を結び、1年秋から公式戦に出場。三塁手としてプレーした後、1学年上の名古竣祐(亜大1年)が卒業すると遊撃手を任された。打線では主に3番に入り、「打つべきところで打って、チャンスメイクをしたい」と誓った。攻守に成長を続ける姿に竹内健人監督(32)は「チームで一番、野球IQが高い」と絶賛する。

 甲子園出場は1992年センバツの一度だけ。「個人的な目標としては大会を通してエラーをゼロに抑え、出塁率5割以上を目指したいです」。御殿場西で得たすべてを発揮して、初の“夏切符”へチームをけん引する。

(伊藤 明日香)

 〇…チームでは3年生の金原(きんぱら)武嗣が正捕手を務め、2年生の綾斗が2番手の立場にいる。父親同士が兄弟で、いとこにあたる。武嗣が掛川市、綾斗が菊川市の出身。中学までは異なるチームでプレーしていたが、“森下野球”に心をひかれて、同じ進学先を選んだ。武嗣は先輩として「チームを勝利に引っ張る姿を見せたいです」と力強く宣言した。

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