第74回全日本大学野球選手権大会(報知新聞社後援)が9日、神宮球場と東京Dで開幕する。全国27連盟の春季リーグ戦などを勝ち抜いた代表校が出場。
デスク(以下、デ) V候補の本命は史上初の3連覇を狙う青学大かな。
浜木(以下、浜) リーグ戦では亜大に王手をかけられながら逆転V。ともにドラフト1位でプロ入りした西川史礁(ロッテ)、佐々木泰(広島)がいた昨年より攻撃力は落ちますが、その分、エース・中西聖輝(まさき)がスケールアップしています。平均球速が1~2キロ上昇し、ピンチを三振で切り抜けるシーンが目立ちました。
デ 青学大は出場すれば上位に進出の印象がある。
浜 大学選手権には過去7度の出場で優勝6度、準V1度と無双状態です。
デ 対抗は早大か。2季連続となる明大との優勝決定戦を制するなど、勝負強さが際立つね。
加藤(以下、加) 潮目が変わったのが明大2回戦でのエース・伊藤樹(たつき)のノーヒットノーラン。そこから小宮山悟監督いわく「怒濤(どとう)の5連勝」で天皇杯を奪いました。
瀬川(以下、瀬) タレントぞろいの近大も強いです。学校創立100周年を、リーグ最多を更新する50度目のVで飾りました。身長163センチと小柄ながら侍ジャパン・井端監督に絶賛された大学日本代表の勝田成(なる)二塁手や、昨春の関大・金丸夢斗(現中日)以来の防御率0・00をマークした左腕の野口練、俊足外野手の阪上翔也&野間翔一郎とプロ注目の4選手が強力です。
デ 全国各地の注目選手を見られるのも大会の妙味。スカウトの注目は創価大の強打者・立石正広かな。
加 走攻守に優れた右の強打者で二塁も守れる。どの球団もリストの上位に位置しているでしょう。
浜 創価大は149キロ右腕・山崎太陽もお忘れなく。大学1年夏に捕手から投手に転向した変わり種ですが、経験の浅さを感じさせない。
島山 北海学園大の工藤泰己はMLBスカウトも視察する159キロ右腕です。
加 速球派では東北福祉大の堀越啓太も楽しみ。2年冬には茨城県内の施設で164キロを計測したという一報が流れ、有名になりました。エースの桜井頼之介も最速151キロ。今春リーグ戦はMVPの活躍です。
伊藤 日大国際関係学部の152キロ右腕・林京平も成長著しいです。曲がり幅の大きいスライダーに加えて、カットボールの使い分けが魅力。全国で活躍できるか。
浜 中京大の153キロ右腕・高木快大(はやと)も逸材です。昨年1回戦で日本文理大を完封し、大学日本代表にも選ばれました。昨秋に肘を手術した影響で、リーグ戦では本来の球威が見られませんでしたが、制球力でカバーし5勝を挙げています。
デ 好投手がズラリといったところだね。
瀬 捕手では大産大・小出望那(もなく)に注目してください。強肩強打に加え、キャプテンシーも光る主将です。
加 東海大の主将を担うショート・大塚瑠晏(るあん)は東海大相模時代からプロ注目でしたが、俊足を生かしたスピード感あふれるプレーに評価も高まっています。
浜 上武大は昨年、ドラフト3位で巨人に入団した荒巻悠が注目されましたが、今年は谷口英規監督が「パワーなら上」と評価する西原太一が主軸として引っ張っています。リーグ戦は打率3割7分1厘の好成績。一発に期待したいですね。
デ ドラフト候補が夢の競演。誰が評価を上げるのか、楽しみだ。話題もいろいろありそうだね。
瀬 佛教大の本間賢人と奈良学園大の本間悠人は奈良大付出身の双子で、ともに主将として出場します。準々決勝で激突する可能性があります。
加 城西国際大は昨年からあの荒木大輔さんがコーチを務めています。指導を受けた投手陣が全国の舞台で輝くことができるか。
浜 ルーキーでは神奈川大の二塁手・高山裕次郎に期待です。健大高崎では昨春センバツV。高校日本代表でも正セカンドでした。1年春にいきなりベストナイン。広島スカウトの父・健一さんもお喜びでしょう。
デ V戦線は青学大や早大が一歩リードだが、番狂わせも十分あり得る。今年はどんなスターが生まれるのか、熱戦をしっかり報じていきたいね。
◆座談会出席者 加藤弘士(東京アマ野球担当・編集委員)、浜木俊介(東京アマ野球担当)、瀬川楓花(大阪アマ野球担当)、島山知房(北海道支局)、伊藤明日香(静岡支局)