◆日本生命セ・パ交流戦 2025 阪神8―1オリックス(8日・甲子園)

 阪神・伊原は心身のタフさが新人離れしている。象徴的だったのは3回2死一塁で西川を迎えた場面だ。

2―2と追い込んでからファウルで6球粘られるなど、計12球を要したが、最後は内角直球で二ゴロ。これだけ1人の打者に球数がかさめば、制球ミスが出てくるものだが、本当に辛抱強い。最後まで集中力を保ち、捕手の坂本の構えたところに投げ切っていた。

 これだけコントロールを乱さないのは、体幹がしっかりしているからだろう。右足を上げてトップをつくった際の立ち姿がきれいで、ピタッと形が決まっている。同じ腕の振りから、球速差の小さな直球、カットボールを投げ分けるから、打者は微妙にタイミングを外されてしまう。

 3回の打席のスリーバント失敗は今後の課題と言えるが、落ち込むそぶりもなく、ふてぶてしい様子でベンチに帰っていた。普通のルーキーなら、責任を背負って投球にも影響するところ。もちろん反省はしているだろうが、顔色一つ変えないところに、気持ちの強さが表れていた。

 藤川監督も好投の伊原をスパッと5回で降ろし、継投に転じた。先発もブルペンもこなした現役時代の経験が生きているのだろうが、先発を引っ張る時は球数を投げさせるし、逆に代える時の思い切りもいい。投手起用のメリハリはとてもうまいと感じる。

それにしても石黒、ネルソンと登板機会の少ないピッチャーも、150キロ前後の直球で圧倒していく。誰が出ても他球団の脅威となる多彩な顔ぶれは、1980~90年代の西武を見ているようだ。(スポーツ報知評論家)

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