3日に肺炎のため89歳で死去した巨人軍終身名誉監督の長嶋茂雄さんの告別式が8日、都内の桐ケ谷斎場で営まれた。盟友でソフトバンク球団会長の王貞治氏(85)、巨人OB会長の中畑清氏(71)、まな弟子の元巨人・松井秀喜氏(50)=ヤンキースGM特別アドバイザー=が弔辞を読み、球団OBなど96人の参列者が約1時間半、別れを惜しんだ。

チームは楽天戦(東京D)に5―0で勝利し、通夜が営まれた前日に続き長嶋さんに白星を届けた。後日、お別れの会が開かれる。

 祭壇の前に立つと、王貞治氏は遺影にゆっくりと語りかけるように弔辞を読んだ。「大恩人の長嶋さんとのこんなお別れは到底受け入れられません」とまだ心の整理はつかないが、感謝の気持ちを飾らぬ言葉で、精いっぱいに表現した。

 「あなたとの六十有余年、私にとっては忘れることのできない貴重な年月でした」。盟友やライバルの言葉では表しきれない、ONの2人にしか分からない特別な間柄。「私にとっては、超普通の人でした」と王氏だからこその言葉もあった。

 弔辞では巨人時代の61年に米フロリダ州ベロビーチキャンプの移動の際に寝坊し、飛行機に乗り遅れる危機を救ってくれたエピソードを初披露。「偶像的になっているけれど、実際は人間味の多い素晴らしい人だったんだ、というところも、皆さんに知っていただきたかった」と意図を明かした。

 「どっかしらに、お互い動いていて、それぞれの動きを感じていました」と、普段は離れていても深い絆で結ばれていた。これからは心の中に偉大な存在を感じ、日本球界を見守っていく。(島尾 浩一郎)

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