◆米大リーグ オリオールズ11―2エンゼルス(15日、米メリーランド州ボルティモア=オリオールパークアットカムデンヤーズ)

 エンゼルスの菊池雄星投手が15日(日本時間16日)、敵地でのオリオールズ戦に先発。今季初の2桁となる10奪三振も、5回2/3を投げ、7安打5失点(自責3)で今季6敗目を喫した。

 菊池は初回、味方失策が絡んだ後、ウリアスに左中間先制2ラン(自責1)を浴びた。6回2死一塁では、ムリンスに投前バント安打を決められた際に一塁悪送球。今季2度目の失策で一塁走者が生還。続くメヨに左中間二塁打を浴び、3―5とリードを広げられ、救援を仰いだ。菊池は2四球、防御率は3・05。球数は92球でストライクは64球だった。

 クオリティースタートまで、あと1アウト。2者連続三振で今季初の2桁奪三振を記録した6回に悪夢が訪れた。サンチェスに右前打を許し、2死一塁。それまで2打席2三振だったムリンスに、バント攻撃を仕掛けられた。

 「2三振してるんで、打つよりバントを選択したと思います。バントしてくる傾向、データはあるし、準備はしていた」と菊池。

不意打ちではなかった。反応よくマウンドを駆け下り、打球を処理したが、試合中に降り続けていた霧雨により、徐々にグラウンド状態は悪化していた。ボールが水気を含み、うまくつかむことができなかった。

 「(打者は)足が速いし、いいバントだったから、しっかり投げてもアウトにできるか分からないけど、ピッチャーとしては投げたい、何としてもアウトを取りたい気持ちが出るのはしょうがない。ただ、ボールが予想以上に濡れていた。持った瞬間に止められなかった」

 一塁送球が大きくそれ、右翼ファウルグラウンドを転々とする間に、一塁走者が本塁生還。菊池は、がっくりと肩を落とした。続くマヨに左中間二塁打を打たれ、球数92球で無念の降板となった。

 「これは、野球の一部だし、しょうがない。四球をいっぱい出しても無失点だったり、1失点で乗り切ることもできれば、今日みたいに三振を取ったり、状態が良くても、打球がいいところに飛んだりすると、点を取られる。相手もメジャーリーガーですから」

 球自体はキレていた。直球の最速は96・6マイル(約155・5キロ)をマーク。

ストライク率は7割に達し、今季最多となる10奪三振を奪った。三振の内訳は、空振り8、ハーフスイング1、見逃し1。持ち球を自在に操り、直球、スライダー、シンカー、チェンジアップ、カーブの5つの球種を勝負球に、18個の空振りを奪った。

 「本当に久しぶりにキター!って感じ。4つのボール全てでストライク取れる状態でしたので、こういう組み立てができると、プラン通りというか、スカウティングレポートの通りに試合を進められる。スピードも上がってきましたし、精度も含めて、開幕からちょっと手探りなことがありましたけど、やっといい状態に来たかな、っていう手応えをつかみました」

 5月の防御率1・89はリーグ4位。直球のスピードアップと、制球力向上を求めてもがいてきた今季。この日のパフォーマンスを「今年一番」と自己評価した。痛恨の悪送球で、クオリティースタートが黒星に暗転したが、菊池の中には、ダメージではなく、確かな手応えが残っていた。今後につながる、紙一重の今季6敗目だった。

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