◆米大リーグ ドジャース6―3パドレス(16日、米カリフォルニア州ロサンゼルス=ドジャースタジアム)

 大谷と同じく2度のトミー・ジョン手術を受けた経験を持つドジャースのカービー・イエーツ投手(38)が、投手・大谷のさらなる向上の“余地”を証言した。今季からド軍に加入した右腕は、2006、21年に2度の同手術。

19年にはパドレスで最多セーブに輝いた中で長期離脱となったが、2度目の完全復活までに約3年間を要したという。この日、9回を締めて2セーブ目をマークした右腕が、“2度目の手術後”を語った。

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 俺もドラフト指名された直後の06年に1度目のトミー・ジョン手術を受けて、21年に2度目の手術を受けた。やってみて感じた1度目と2度目の最大の違いは「時間」。投球を再開するまでに時間がかかる。自分を信じて投げられるようになるまで、完全復活まで本当に時間がかかるよ。

 1度目は術後4か月くらいでボールを触ったが、2度目は8か月くらいボールを触ることさえ許されなかった。医師が慎重で「どんなことがあってもボールを手に取るな」と念を押されたね。

 2度目の決断は難しかった。キャリアが軌道に乗っていた時だったから。19年にパドレスで41セーブで最多セーブをつかんだ。だが、復帰した22年は全然ダメで投げるたびに違和感があったし、23年は一度調子が良くなっても数週間ダメになることがあった。

ただ、24年はキャンプ序盤に肘の状態が明らかに違った。リフレッシュした感覚で痛みもなかった。やっと思うように投げられるようになったのは昨年6、7月頃。手術を受けて3年以上がたっていた。

 リハビリをしているうちに年を重ねる。重要なのは「これが自分の選んだ道。これが自分のやりたいこと」ということ。メジャーで投げたいなら日々努力するしかない。そして数年後に振り返り、積み上げてきた進歩を誇りに思える時が来る。

 翔平の場合、俺と違って1度目の手術から2度目の手術まで、あまり時間があいてなかったことが、リハビリの面では良かったのかもしれない。日々何をすればよいかを覚えているし、感覚も鮮明だろうから。2度のトミー・ジョン手術を受けた身として、リハビリをやり抜いた上で毎日チームの先頭打者として出場し、毎日「大谷翔平」であり続けるのは本当に驚かされる。

肘の安定性と強さに自信を持てれば、もう心配はいらないよ。(ドジャース投手)

 ◆カービー・イエーツ 1987年3月25日、米ハワイ州生まれ。38歳。2009年にレイズ入り。14年にメジャーデビュー。19年パドレスで41セーブを挙げてセーブ王。昨年限りでレンジャーズをFAになり、今年1月に1年1300万ドル(約19億円)+出来高でドジャース入団。178センチ、89キロ。右投左打。

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