◆JERA セ・リーグ 巨人5―0DeNA(28日・東京ドーム)

 失点の気配がないまま、F・グリフィン投手(29)は淡々と役目を終えた。97球に手応えをにじませ、7回7K0封、無四球でバウアーに圧勝した。

球団助っ人左腕初の開幕5連勝。規定投球回には届いていないが、防御率も1・04から0・92へと良化させ「念入りな準備通り。自分の長所と相手の弱点の兼ね合いで計画を立て、どこで強みを押し、弱点を突くか。その駆け引き」と納得の汗を拭った。

 今季10登板目にして最多の援護5点。スライダー、カーブ、チェンジアップ、カットで満遍なくカウントを稼ぎ、最速148キロの直球をきかせた。4回1死一、二塁は宮崎を三ゴロ併殺。得点圏に走者を背負ったのはこの1度だ。裏の攻撃では1死一、二塁から初球で三塁方向に犠打を決め、丸の先制2点打をお膳立て。お立ち台では「岸田は素晴らしい捕手。考えもすごく合う」と二盗阻止&4安打の女房役に感謝した。

 来日3年目。

マウンド上で気持ちのムラを見せなくなった。「経験のなせる技。ピンチの時こそ呼吸を整え、次の一球に集中する」との意識が好投につながる。球団の助っ人では16年マシソン以来の開幕5連勝。阿部監督も「本当、素晴らしい。完璧」と文句なしでたたえた。

 負けない男には、支え合う友がいる。赤星だ。今季は並んでローテを回り、同じカードで投げ続ける。昨秋のフェニックス・リーグでの移動中。赤星がプロ入り前から使っていたリュックの“ほつれ”に気付いた。その後の東京D。

右腕のロッカーにはハイブランドの緑色のリュックが置かれていた。「僕のがボロボロで、グリフィンがかわいそうと思ってくれたみたいで」。自身が愛用してきたリュックを何も言わずプレゼント。赤星は今も、それを大事に使っている。

 開幕直前に発熱し、先発を緊急回避した第2戦。代役で救ってくれたのが赤星だった。ここまで2人で10勝。ローテ再編で今カードから日曜に回った友に、最高の流れでバトンタッチした。直近7戦連続クオリティースタート(QS=6回以上自責3以内)、9先発でQS8回と安定感光るヒーローは「ガンバリマース!」とG党に約束。快進撃はまだ止めない。(堀内 啓太)

◆防御率お化け…村田真一氏の「Point」

 グリフィンは今回も申し分ない出来やったね。球威もあるし、今季は制球がよくなって常に優位なカウントで進められている。

うまいなと感じたのは、右打者に対して外のスライダーでストライクを取っているところ。あれは岸田と話し合いながら、工夫しているんやろうね。防御率1点台でもすごいのに、10試合投げて0点台は考えられない。お化けと言ってもいい数字よ。

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