◆JERA セ・リーグ 巨人5―0DeNA(28日・東京ドーム)

 最後の打者を三振に仕留めると、巨人・岸田行倫捕手(28)は小走りでマウンドへと駆け寄った。ウィニングボールを手に、優しい表情で試合を締めた堀田をねぎらった。

先発のグリフィンから3投手を巧みなリードで導き、今季13度目の零封勝利。両軍無得点の3回1死一塁では「流れを持ってくる意識で」と森敬の二盗を阻止し、打っては4安打で全得点に絡んだ。「積極的に振りにいった球をしっかりと仕留められていることが、いい結果につながっている」とうなずいた。

 捕手の重責を担う上で、大切にする思いがある。「悔いが残らないように。後から『やっぱりああしておけば良かったな』ということがないように」。先発投手との事前打ち合わせでは、各投手の性格や状態、相手打者の特徴などを踏まえて「迷いなく」サインを出すためのプランを話し合う。お立ち台では「当たり前のこと」とサラリと言ったが、隣に立ち、今季全9度の先発時にコンビを組む助っ人左腕は「バッテリーの勝利」と感謝した。

 4安打の固め打ちで、今季同戦は3戦計10打数6安打の打率6割。今季同戦で3戦3勝、防御率0・00の山崎とは、くしくも同じ10月10日生まれ。その2人が投打で相性の良さを発揮している状況に「たまたま。関係ないです」と笑ったが、“打のDeNAキラー”としても存在感が増してきた。

 前回は11日のソフトバンク戦(みずほペイペイD)で4安打も、翌12日の同戦では5打数無安打。それだけに阿部監督が「すごくいい仕事をしてくれたんでね、明日は1本でも打ってほしい」と期待すれば、岸田も「少しでもチームの勝利に貢献できる1本、守備をこれからもっと増やしていけたら」。悔いのない試合を重ねた分だけ、チームは頂点へと近づいていく。(小島 和之)

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