◆JERA セ・リーグ ヤクルト0―2阪神(28日・神宮)

 心地よい快音が響いた。両軍無得点の5回2死二塁、阪神・森下翔太外野手(24)は、高橋の高め直球を振り抜いた。

美しい放物線を描き、左翼席中段へ着弾。先制の12号2ランに、珍しく小さく拳を握った。「自分のスイングで捉えることができて良かった」。12日・西武戦(ベルーナD)以来、11戦ぶり一発に「入って良かった」と心から安どした。

 真っ暗なトンネルに迷いこんでいた。53打席ノーアーチ。直近5戦17打数1安打と苦しんだ。「修正して結果が出なくて、また修正して結果が出なくて…」。思い詰めたが、選んだのは継続。オフから取り組んできた打撃フォームを再確認した。ぶれない姿勢で近畿地方から一日遅れの“梅雨明け”。テレビ中継で試合中のグラウンドの気温が約43度と紹介される中、暑さも歯がゆさも吹き飛ばした。

 “修正”は球場外でも続く。元来、焼肉屋に足を運べば数人前の肉に白米、石焼ビビンバ2個を平らげる大食漢。今季は栄養士のアドバイスを受け、献立を見直した。「バランスが大事になる」。栄養素ごとに摂取する目標数値を可視化。圧倒的な量に加え、野菜を増やし、プロテインバーで補うなど食事の質が向上し、3年目の戦いを支えている。

 首位のチームはビジターの連敗を7で止め、2位と3・5ゲーム差をキープした。打点51でリーグ単独トップに浮上した主砲に藤川監督は「また、あしたも対戦相手から嫌なバッターとして、発揮してくれたら」と期待。昨季も交流戦明けは打率3割1分1厘と好成績を残した。「夏バテしない」を自認する生粋の夏男。今年も森下の季節が始まった。(直川 響)

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