◆全国高校野球選手権 南北海道大会室蘭地区予選 ▽Aブロック代表決定戦 苫小牧中央9-2苫小牧工=7回コールド=(28日・とましん)

 6地区で代表決定戦が行われた。室蘭地区では苫小牧中央が9―2の7回コールドで苫小牧工に勝利。

途中出場の村上広大投手(3年)が満塁弾を含む5打点で2年連続9度目の南北海道大会出場を決めた。

 公式戦初ホームランに初の二塁手出場と、苫小牧中央・村上が攻守で躍動した。2点を勝ち越し、なおも2死満塁の6回。内角直球を振り抜くと打球は左翼スタンドへ。「サクまで越えてくれてうれしい」と、初のグランドスラムに満面の笑みを浮かべた。

 1点ビハインドの5回1死三塁で代打起用されると、二ゴロで同点とし、計5打点。「ホームランはびっくりも何も全く考えていなかった」と、渡辺宏禎監督(56)も驚きの打撃で勝負を決定づけた。

 7点差をつけてのコールド勝ちだが、序盤は2点を先行される苦しい展開。就任35年目の“ベテラン”指揮官の采配が逆転を呼び込んだ。1番・及川雄琉二塁手(3年)が初回守備で送球ミスし、第2打席まで無安打。好守で精細を欠くと5回でベンチに下げた。

 トップバッターを前半のビハインドでベンチへ下げる決断に「かなり勇気がいりました」。

それでも、本職は投手で、練習も含め経験がない二塁手で起用した村上がグラブを借りて6回1死一塁から二ゴロをさばき併殺を完成。直後の打席で満塁アーチと、起用が見事に的中した。

 2年連続で臨む南大会。1回戦敗退の昨年もベンチ入りしていた右腕は「初戦に必ず勝って、甲子園に行く。自分の役割を果たしたい」。広島・斉藤優汰投手を擁した22年(4強)でもたどり着けなかった初の聖地へ。投げて、守って、打って、村上がチームを救う。

(島山 知房)

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