◆JERA セ・リーグ ヤクルト0―6阪神(29日・神宮)

 美しい弾道こそが阪神・佐藤輝明内野手(26)の真骨頂だった。5―0の8回1死で、丸山のカーブを完璧に捉えた。

大きな弧を描いた打球は、右翼席の中段へ。自身7試合ぶり、ダメ押しの20号ソロだ。「甘いところにきたので、よかったです」。両リーグ最速の20号は球団6人目。日本人選手に限れば84年の掛布雅之以来、41年ぶりだ。「(ペースは)いいんじゃないかな」。虎党の祝福を目に焼き付け、胸を張った。

 21日のソフトバンク戦(甲子園)以来の打点で、50打点に到達。新人から5年連続の50打点はドラフト制後、7人目の快挙となった。大きな離脱なく、キャリアを重ねてきた証し。試合前の全体アップ後、数種類の個別ストレッチを行うのが日課で、黙々と己と向き合う。周囲の称賛は素直に受け止めるが「暑いので体調を崩さないように」といつも通り自然体。

結果に左右されず、心の浮き沈みを最小限に抑え、5年目のシーズンを戦っている。

 この日は「開幕布陣」が復活。前川が31戦ぶりにスタメン復帰し、佐藤輝は5月24日の中日戦(バンテリンD)以来となる三塁に入った。2度の守備機会も難なくこなし「違和感なく入れたので良かった」と淡々。チームは2試合連続完封勝ちで、2カードぶりの勝ち越しも決めた。7連敗もあった6月は11勝11敗の5割で終了。7月1日からは甲子園で巨人と3連戦を迎える。「頑張ります」。泰然自若の大砲が阿部巨人に立ちはだかる。(直川 響)

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