日本スポーツマンシップ協会は29日、スポーツマンシップの普及啓発活動の一環として、都内で「スポーツマンシップ・デー2025」と題したイベントを開催。サッカー日本代表の森保一監督を招いての「スペシャルゲストトーク」や、スポーツマンシップコーチ資格認定者による「事例発表」、さらにはスポーツマンとしての振る舞いや良きスポーツマンシップを示した個人・団体などを表彰する「日本スポーツマンシップ大賞2025」発表と充実のプログラムで、その意義を再認識する一日となった。
「日本スポーツマンシップ大賞2025」発表では、グランプリに体操競技の男子日本代表が選出。ヤングジェネレーション賞には弘前学院聖愛野球部、特別賞には堀米雄斗と開心那が選ばれた。
表彰式には萱和磨と弘前学院聖愛野球部の昨夏主将で、現在千葉県大学野球リーグの中央学院大でプレーする貴田光将内野手(1年)が出席した。
体操競技の男子日本代表は、2024年のパリ五輪で男子団体決勝で、主将の萱が「絶対に諦めるな」とチームを鼓舞し続けた。その声はチーム全員の力となり、集中力と団結力を生み、最終種目での大逆転につながった。そして橋本大輝は、その後に演技する選手のために、静かにしてあげてほしいというジェスチャー…ライバル選手への配慮を大一番でも見せた。相手へのリスペクトを欠かさない姿勢は、「Good Gameをつくりあげる」という、スポーツマンシップを体現したものとして高く評価され、受賞に至った。
萱は「このような賞をいただき、大変うれしく思っています。応援してくれた方や、チームの仲間に本当に感謝したいなと思っています。東京五輪で0.103ポイント及ばず銀メダルとなり、そこから『絶対に金を取りたい』という思いがあったからこそ、パリ五輪の舞台で、苦しい場面でもあきらめず、金メダルしか見ずに前を向いてやった結果、逆転できました」と喜びを語り、こう続けた。
「体操は不思議な競技で、試合中でも(対戦相手と)ハイタッチとかして、たたえ合うんです。すごくいい文化だと思いますし、スポーツ界に体操の面白さ、素晴らしさを伝えていければと思います」。
弘前学院聖愛野球部は昨夏の高校野球青森大会開会式で、「平和的な入場行進」を実行し、新たな時代の幕開けと話題になった。選手たち自身が慣習に疑問を持ち、歴史を調べ、自分たちはどうするべきかと考えて、それを実践した。
貴田は「このような栄誉な賞をいただき、ありがとうございました。原田(一範)監督をはじめ、スタッフの皆様のおかげです。僕らのやったことが、スポーツマンシップであったり、スポーツ界の何らかのきっかけになってくれたら嬉しいと思います。後輩たちも、これから新しいことにチャレンジし、新しい風を吹かせてくれると信じています」と感謝を口にした。