◆サッカー東アジアE―1選手権 日本代表1―0韓国代表(15日、韓国・龍仁ミル・スタジアム)

 【龍仁(韓国)15日=後藤亮太】FIFAランク17位の森保ジャパンが、同23位の韓国代表に1―0で勝ち、初の全勝で2大会連続3度目の優勝を果たした。前半8分、FWジャーメイン良(30)が、今大会5点目となる先制点を決め、敵地でライバルに競り勝ち、79回目の日韓戦で史上初の3連勝も達成。

約1年後の北中米W杯メンバー入りを狙う国内組で編成されたチームで歴史をつくった。

 連覇を告げる笛が鳴り響くと、死力を尽くした選手たちは抱き合って喜んだ。森保ジャパンの底力を韓国のピッチで示した。1点リードの後半はピンチの連続も、体を張って最後まで無失点で耐えた。国内組で臨み、大会通して全26選手が出場する総力戦の末につかんだ初の全勝V。森保一監督(56)は「選手たちの努力が素晴らしかった。Jリーグのプライドを示してくれた」と誇った。

 厳しいアウェーも、はねのけた。スタンドからは途切れることなく韓国サポーターの大声援がこだまし、ブーイングも浴びた。それでも、前半8分にジャーメインが先制。後半32分にはDF植田を3バックの左で起用し、DF古賀を左ウィングバックへと柔軟にスライドさせた。望月、安藤、荒木、植田、古賀の平均身長187・4センチの5人ではね返し続け、79度目の日韓戦で初の3連勝に導いた。

 今大会の狙いは明確だった。北中米W杯での世界一に向け、3チーム分の選手層、“33人レギュラー化計画”に着手。6月の最終予選では18歳のMF佐藤ら6人を初招集しデビューさせると、今大会ではジャーメインら15人が代表初キャップを刻んだ。

 即席チームであっても森保監督に妥協は一切なく、戦術は細部にこだわった。試合のミーティングでは1本のパスミスも見逃さず、改善点をチームで共有。海外組がいなくても、森保ジャパンの代表基準を植え付けた。日本史上初の5大会連続のW杯出場を目指すDF長友が、練習から世界レベルを意識させ続けたことで、引っ張られるかのように全員が高みを目指す集団に変化。長友は「自分はW杯で優勝メンバーになるという基準で、このE―1の戦いの中でも意識して戦っていた。それを彼らが見て、基準が上がって意識が高くなって感じてくれたらうれしい」と思いを込めた。

 指揮官も「日本代表全体の選手層の厚さを示してくれた。W杯の選手選考は…本当に難しくなりましたね」とうれしい悲鳴を上げた。戦力の底上げに成功し、欧州組を中心にフルメンバーで戦う9月の米国遠征に、今大会のメンバーが抜てきされる可能性はある。

夢の世界一へつながる、大きな10日間となった。

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