2002年日韓大会以来2度目となるサッカーW杯の日本開催に向けて準備が進んでいることが17日、スポーツ報知の取材で分かった。46年大会招致を本命に、日本を含めたアジア地域の複数の国での共催案が出ている。

今年3月には日本サッカー協会(JFA)が所属する東アジア連盟(EAFF)と、東南アジア(ASEAN)連盟(AFF)が会合で方向性を確認した。この日、E―1選手権の行われた韓国から帰国したJFAの宮本恒靖会長(48)も取材に対し、招致計画を進めていることを認めた。

 宮本会長は壮大なW杯招致計画が水面下で進んでいることを認めた。今年3月に都内で行われた東アジアと東南アジア両連盟の共同会議で話し合いを持ったとし、「書面などを交わしたというわけではないが、(W杯を共催で)やれればいいよねという話は出ている」と明かした。

 関係者によれば、賛同する国が手を挙げて共催を目指すスタイルになるという。日本、韓国、中国などの東アジア、12の国と地域が加盟する東南アジア地域のASEAN連盟(13年にオーストラリアも加入)がタッグを組み“W杯アジア開催”の実現を目指して動く案が浮上。東南アジア地域では07年アジア杯で4か国共催(インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナム)を実施した実績もあり、日中韓を加え、7か国の広大な地域にまたがったW杯史上最大、夢の祭典になるかもしれない。

 アジアW杯の実現は現実的とも言える。国際サッカー連盟(FIFA)は調和を取るため、各大陸での持ち回り開催を実施しており、26年は米国、カナダ、メキシコの北中米。30年は欧州、南米、アフリカの3大陸で史上初の同時開催、34年はサウジアラビアで行われ、38年、42年大会はアジア以外での開催になる流れだ。日本としても46年の招致となれば、「50年までに自国でW杯を開催し、優勝する」という目標を掲げた「JFA2005年宣言」に沿う形となる。東南アジアは近年、サッカーの実力、経済力の発展が目覚ましく、FIFAにとっても人口が多いアジア開催は利点となる。

 宮本会長は機運を高める活動の一環として「日本は2002年以来、(大規模な)世界大会を開催していないので、運営能力の高さを示す必要がある」と、国際大会の国内実施を進める意向も示唆した。39年大会以降の招致を検討している女子W杯なども、足がかりとなりそうだ。森保一監督(56)率いる日本代表は来年のW杯で史上初の8強以上を目指す。02年日韓W杯以来、44年ぶり自国開催へ、招致に向けたムードを加速する。

 ◆02年日韓W杯開催 当初は日本、韓国ともに単独開催を目指したが、1996年にアジア初、史上初の共催が決定。計64試合が日韓各10都市で開催され、開幕戦のフランス―セネガルは韓国ソウルW杯スタジアム、決勝のドイツ―ブラジルは横浜国際総合競技場で行われた。

◆出場国増で共催が標準化

 【プラスα】複数の国による共催は、日本と韓国の02年大会が初めて。26年大会は16チーム増えた48チームが参加し、北中米3か国(米国、カナダ、メキシコ)で開かれる。30年大会はスペイン、ポルトガル、モロッコにW杯100周年記念試合として3試合を行う南米3か国(アルゼンチン、ウルグアイ、パラグアイ)を加え、初の6か国開催となる。共催の背景には出場国数の増加と資金面の負担もある。30年大会はFIFAが64チームに増やすことも検討している。また、日本は単独で開催するにはスタジアムの増築や改修が必要という側面もある。

資金力のある34年サウジアラビア開催を除けば、共催の流れがスタンダードだ。

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