◆大相撲 ▽名古屋場所12日目(24日、IGアリーナ)

 東前頭15枚目・琴勝峰が小結・高安をはたき込み、2敗で首位タイを守った。初優勝に向け、13日目は結びで新横綱・大の里戦が組まれた。

東前頭筆頭・安青錦も西同4枚目・玉鷲を下手投げで下し、2敗をキープ。優勝争いは安青錦、琴勝峰を1差で大の里、平幕の一山本、熱海富士、草野が追う。12日目を終えて3敗以内に6人が残るのは2003年名古屋場所以来の大混戦となった。

 2敗を守った琴勝峰は「フゥーー」と大きく息を吐いた。今場所初の幕内後半戦での一番。高安の強烈なかち上げに後退しかけたが、踏みとどまった。「体が勝手に動いた感じ」。すかさず右へ動きながらのいなしで、相手を土俵下へはたき込んだ。23年初場所以来の幕内での2桁勝利も「内容が全然ダメなので、反省しないといけない」と、支度部屋では言葉少なめ。トップタイで先頭を走る優勝争いについては「まだ3番あるので、どうなるかはわからない」と気を引き締めた。

 今場所は弟の琴栄峰が新入幕を果たし、番付は2枚差まで迫られた。師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)は「弟が上がってきて『負けたくない、越えられたくない』という気持ちが強いのだと思う」と、対抗心が芽生えていることを指摘。

東西の支度部屋が一緒の時は兄弟で明け荷を並べ、10日目には琴勝峰が勝った際に、弟の琴栄峰に初めて力水をつけた。「刺激になっている。2人でもっと上にいきたい」と、弟の存在は大きい。

 また今場所の仕切り前には元大関・琴奨菊(現秀ノ山親方)の代名詞でもあった背中を反り返す「琴バウアー」のような動きを取り入れている。「取組前に体が整う感じ」と新ルーチンの効果を実感。「秀ノ山親方と比べれば全然。まだ顔ではない。少しでも番付で追いつけたら」と、部屋の大先輩の背中を追いかける。

 23年初場所の千秋楽では当時の大関・貴景勝(現湊川親方)と優勝を懸け、敗れながらも相星決戦を闘った経験もある。八角理事長(元横綱・北勝海)は「琴勝峰は落ち着いていた。優勝争いの経験もあって、自信を取り戻したのではないか」と評価。13日目は3敗の横綱・大の里に挑戦する。

過去幕内では2戦全敗だが、23年九州場所では十両の優勝決定戦で勝利したこともある。「これまで経験してきたことを生かして考えながらやっていきたい」。勢いづく25歳が、初賜杯を虎視たんたんと狙う。(大西 健太)

編集部おすすめ