競馬業界では、人材確保に向けて新たな取り組みが進んでいる。
北海道でBTC(公益財団法人 軽種馬育成調教センター)が行う「育成調教技術者養成研修」と、JBBA(日本軽種馬協会)が行う「生産育成技術者研修」(ともに研修期間は1年)において、25年の受講生からJRAの支援を受け、研修費用が80%減と自己負担分が大幅に軽減された。
また、JRAは今年10月入学の競馬学校・厩務員課程(期間は6か月)も北海道の研修施設のように、修学にかかる費用を48万7000円から17万円に抑えることを決定。そのうちの7万2000円が食事代(これまでは23万円)になるが、育成牧場で就労期間が通算3年以上の者など定められた条件を満たせば、日本調教師会からも支援が行われる。競馬学校6か月の食事代として7万2000円、もしくは3万6000円の給付金を受け取ることが可能になった。
競馬界の発展のため人材育成面でも尽力する美浦の青木孝文調教師は「競馬学校で言えば、在学期間は無収入。割合的に多くはないですが、経済面を理由に断念したり、食事代も節約している人がいると聞く。経済的負担を軽くしたいという意図を持って創設しました。詳しくは日本調教師会のHPを確認していただきたい」と給付金について説明。また、BTCのOBでもあるため、自身の経験も踏まえて「OBとして補助金が出ることによって在学中の負担が減ったのは好ましいこと。経済面を理由に馬の世界に踏み出すことを躊躇(ちゅうちょ)していた人が志すきっかけや、これから進もうとする人の助けになってくれれば」と業界に興味を持つ人へ向けてメッセージを送った。
経済面での負担が少なくなり、BOKUJOBなどでは多くの牧場が情報を発信。キャリアの積み方や考え方は人それぞれだが、生産、育成、種付けを行う牧場には、そこでしか経験できないことがあり、競走馬を扱うトレセンでも同様のことが言える。